横浜が、来季の続投要請への返答を保留している大矢明彦監督(60)に対し、弘田澄男ヘッド兼打撃チーフコーチ(59)、斉藤明夫投手チーフコーチ(53)の今季限りでの更迭を続投条件としていることが8日、分かった。大矢監督はこの日、遠征先の広島で9日に佐々木邦昭社長(61)に返答することを明言しており、内容が注目される。

 来季で3年契約の最終年を迎える大矢監督はこの日、「今日1日しっかり考えて、明日(返答を)言います。チームが戦っている中、上に立つ者がいつまでもふらふらしてはいけない」と胸の内を明かした。6日に名古屋市内で佐々木社長と会談。低迷の分析、チーム強化の方向性などを話し合った。佐々木社長から続投要請も受けたが「大変ありがたいが、こんな大敗をして、このまま来季もやっていいのか。少し考える時間をいただきたい」と返答を保留していた。

 球団にとって、続投は既定路線。開幕から低迷が続き、5月25日には自力優勝が消滅した。それでも若林オーナー、佐々木社長とも「来季も大矢監督にお願いしたい」と繰り返してきた。就任1年目の昨季は4位だったが、前年度最下位のチームをAクラス争いさせた手腕を評価。継続的なチーム強化には、一定期間を託す必要があると判断した。しかし、今季の低迷ぶりから無条件というわけにはいかず、一部コーチングスタッフの交代に踏み切る。

 低迷の最大の原因は、12球団最低のチーム防御率(7日現在で4・86)が示す投手陣にある。今季はエース三浦が右肩の張りで6月に登録抹消されるなど故障者が相次ぎ、外国人投手の補強も失敗した。一方で、若手投手の成長も遅れた。横浜開港150周年を迎える来季、Aクラス入りを最低目標に掲げる以上、投手コーチの交代によるテコ入れは不可欠と判断した。

 攻撃陣にも課題は残る。現在首位打者の内川や昨季、本塁打王を獲得した村田を擁しながら、投打のかみ合わない試合が続いた。ヘッドとしてチーム全体を束ねられなかった弘田コーチの責任を問うことになった。6日の会談で同コーチのフロント入り案も検討されたが、現時点では白紙だ。

 大矢監督はぎりぎりまで迷っているもよう。北京五輪後は4年目石川を正遊撃手に抜てきするなど、来年以降を見据えた起用もしている。チーム再建の意思は固いが、2シーズンをともに戦った両コーチの更迭を受け入れるのか、決断が注目される。