<日本ハム7-4オリックス>◇13日◇札幌ドーム
新4番が勝利を呼び込んだ。クライマックスシリーズ(CS)進出を大きく左右する2位オリックスとの直接対決3連戦初戦。初回1死二、三塁のチャンスで高橋信二捕手(30)が、4連勝中の相手の勢いを止める先制の2点適時打を放った。9日の西武戦から4番に座り、3試合連続本塁打をマークするなど、この4試合で10打点と主砲の役割を完遂。守ってもグリンを好リードし、高橋の攻守にわたる活躍でオリックスとのゲーム差を3に縮めた。
和製大砲が、打ち負かした。初回1死二、三塁。高橋が、軽くバットを合わせた。シュート気味の逃げていくような外角138キロ。「アホなんで、何も考えていなかった」。無欲でまっすぐな心を表すような、弾道が右翼線に弾んだ。先制2点二塁打。9連敗中の天敵の出ばなを、いきなりくじいた。「信二がよう打ってくれた」。派手な一発ではなかったが、梨田監督が絶賛する先制パンチだった。
強力打線の戦闘意欲を守備でも奪った。先発グリンを好リード。3回にはローズを内角攻め。カウント2-1から、最後は低めボールゾーンへ沈むスライダーでバットに空を切らせた。6回はカブレラだ。内角高めボール、143キロのつり球で、同じく同じく空振り三振。ともに得意のコースで誘い、完ぺきに仕留めた。長距離砲コンビを、カブレラの単打1本で封じた。
4戦連続で4番に抜てき。この日まで4年ぶりの3戦連発と、がけっぷちのチームで救世主になっている。12年目の今季、4月下旬に右大胸筋を痛め一時離脱。6月には死球で左手を骨折し約1カ月、戦列を離れた。右大胸筋を痛めた時は肉離れ寸前の状況。はり治療などで応急処置して強行出場しようとした。はりを打った場合に肺に達し、最悪生命にもかかわる危険性があったため周囲が止めた。それでも出場に固執した。その責任感は、苦難続きの1年の終盤で爆発した。
不屈の新4番が運んだ白星は価値は大きい。勝ち星に恵まれずに愚痴りがちだった助っ人をアシストし、最後には、おまけの1発もかました。「(グリンが)味方の援護がない、援護がないって、よく言うんで良かった」。真っ向から皮肉るほどの正義感が、土壇場で強い精神力の根底だ。同一カード9連敗でストップしても「この1勝ぐらいで何か言っていたらダメでしょ」。クールな熱血漢はとても“アホ”とは思えないほど、冷静にサバイバルレースを見つめていた。【高山通史】




