<巨人9-5阪神>◇21日◇東京ドーム

 首位阪神がまさかの3連敗を喫し、巨人に追いつかれた。金本知憲外野手(40)の2打席連続本塁打で2点を先制したが、5回に大量8失点で逆転負けした。巨人との3連戦で1つでも勝てば優勝マジック12が再点灯するはずだったが、頼みの投手陣が3戦で8本塁打を浴びて24失点と炎上し、得点力不足の打線も目覚めなかった。残り14試合。ペナントレースを独走してきた猛虎は、張り子の虎になりつつある。

 矢野が空振り三振に倒れると、岡田監督は首を横に振ってベンチ裏へ消えた。「(巨人は)勢いがあった。走者が出ると点が入りそうな雰囲気があった。止めにいったけど、止まらんかった」と力なく言った。2連敗で迎えた首位決戦第3ラウンド。1つでも勝てばマジック再点灯のはずが、投打とも息を吹き返すことはなかった。

 巨人戦3勝1敗だった岩田は4回まで1安打に抑えていたが、5回につかまった。先頭李に左中間二塁打を浴び、谷に左前され1点を返された。さらに1死満塁で、鈴木尚に逆転適時二塁打を許しKOされた。「(李の二塁打後)後も切り替えて抑えようと思ったんですが…。情けないこと」とうなだれた。

 中継ぎ転向から27回1/3無失点を続けていたアッチソンも打ち込まれた。巨人への流れをなんとか止めようと、逆転された直後の2死満塁での早めの投入だった。だが、ラミレスをカウント2-1に追い込んだものの、勝負に行った内角直球を中前打されて2点を失った。「自分としては、いい投球をしたが、これがベースボールだ」。さらに李に特大の3ラン、6回には阿部にソロを浴びた。

 打線も金本が2回と4回に上原からソロ本塁打を右翼席にたたき込んだが、後が続かない。大差をつけられた8、9回に3点を返すのがやっとだった。

 7月まで毎月ハイペースで貯金を積み立ててきたが、8月は借金2、今月も借金3と息切れ。13ゲーム差をつけていた巨人に追いつかれた。岡田監督は「これで振り出しになったわけやん。そういう気持ちで残り試合をやるしかないやんか。きっちり並んだわけやろ。一騎打ちやん」と気合を入れ直した。

 脳裏をよぎるのは、昨年9月の戦い。阪神は8月30日から怒とうの10連勝。東京ドームで巨人に3連勝し、1位と3位だった順位をひっくり返した。ただその後の失速で、つかみかけたペナントを巨人に奪われた。そのドラマの再現を、今季は演じなければならない。岡田監督は「昨年と…真逆になったな。10連勝か」と言った。22日からは6連敗中の最下位横浜との4連戦。嫌な流れを断ち切ることができるだろうか。