<巨人9-5阪神>◇21日◇東京ドーム

 力投していた岩田稔投手(24)が5回に「悪夢」を見た。先頭李に外角スライダーをとらえられ、左中間二塁打を浴びる。谷への初球にバッテリーを組む野口が捕逸。三進されて、リズムを崩した。直後の球を左前にはじき返されて1点を失うと、代打大道にスライダーを制球できず、死球を当てるなど満塁のピンチを背負ってしまう。鈴木尚に逆転適時二塁打を浴びて、KOされた。

 「(李を)追い込んでから、ボール球でも打たれたら一緒。もっと外さないとダメです。その後も切り替えて抑えようと思ったんですが…。情けないこと」。初の2ケタ勝利に王手をかけていた左腕は反省した。今季、これまで巨人戦で3勝1敗。防御率1・75と好成績を残していた。この日も4回まで無失点に抑えたが、5回につかまり5失点。最悪の途中降板だった。

 岡田監督は「5回まで行ってくれれば良かったんやけど」と嘆いた。この回まで抑えていれば、後は勝利の方程式がつながった。しかし結果的に後手、後手の継投となる悪循環で大量失点。「思い通りにいかない」阪神と「すべてが思い通り」の巨人の明暗が、凝縮されたイニングとなった。

 巨人の勢いに飲み込まれた岩田だが、まだ大事な登板機会は残されている。「きっちり次は絶対に勝てるよう頑張ります」とリベンジを誓った。【酒井俊作】