<阪神3-2横浜>◇22日◇甲子園

 赤星の「足」で、猛虎は息を吹き返した。1回裏。先頭の赤星が左前打で出塁すると、すかさずに二塁に走った。今岡のタイムリーでアッという間に先制のホームを踏んだ。甲子園には、このスピード感がよく似合う。自らもそれを意識してのアクションだった。「流れを作るために、動く必要があった」。カンフル剤の意味もあった34個目の盗塁。2回にも四球を選び、追加点のつなぎ役となった。3安打猛打賞に2盗塁。巨人の破壊力に圧倒されたが、阪神には不動のリードオフマンがいる。頼もしさを再認識した1日だ。

 自分らしさを発揮した赤星に「勲章」が待っていた。2088打席連続本塁打なしの珍しい日本記録に並んでいたが、この日の初回に新記録を更新した。05年6月12日に日本ハム江尻からプロ通算3号を放ってから、1本もフェンスを越えていない。「そんなこと考えている余裕がない。そのうち、打ちますよ。来年くらい」と笑った。

 珍記録は自らの役割にこだわり続けた結果でもある。「苦しいとか楽な展開とかどうでもいい。どんな勝ち方でもいい」。アーチをかけずとも、赤星の存在感は大きい。巨人とのマッチレースにその俊足が生きる。【田口真一郎】