労組日本プロ野球選手会の新会長に、副会長を務めていた阪神新井貴浩内野手(31)が就任することが10日、分かった。宮本慎也会長(38)から今月に入り打診を受け、快諾。12月に行われる選手会総会での承認を経て正式決定する。

 決め手は人柄、おとこ気だった。今年で3年目となった宮本会長は、早くからバトンタッチを模索。副会長の中から、他球団の選手からも人望を集める新井に白羽の矢を立てた。阪神からの選手会長は第3代の岡田彰布前監督(50)以来。

 同じく副会長を務めている巨人高橋由伸外野手(33)も、新会長の候補だった。しかし今オフに持病の腰痛治療のため手術に踏み切り、来季は復活をかける。グラウンド外の業務を兼ねられる状況ではなく、見送られることとなった。

 取り組むべき課題は多い。宮本会長が中心となって取り組んだFA短縮問題は6月にひとまず決着した。だが権利取得まで国内移籍は(部分的に)7年、海外移籍は9年という差があるなどまだ不完全な形であり、2年後の再検討、再交渉が約束されている。また年俸調停制度やポスティングシステムの見直しなど、選手会がNPB(日本プロ野球組織)側に申し入れている事項も引き続き要求していかなければならない。

 FA移籍した選手としては初の選手会長就任とあって、複数球団の事情を知り、制度を利用して移籍を経験したからこそ言えることもある。新井が虎の主砲からプロ野球界のニューリーダーとなる。