横浜からFA(フリーエージェント)宣言した三浦大輔投手(34)の阪神移籍が確実であることが21日、分かった。三浦は他球団と交渉解禁となった20日に横浜市内のホテルで阪神と交渉し、3年総額11億円(推定)の提示を受けた。中1日明けた22日には、大阪市内で2回目の交渉に臨む。今後、阪神との交渉につまずきがない限り、来月上旬までには移籍の意思を明らかにするとみられる。

 わずか3日間で2回の交渉に臨むことも、阪神移籍に向かう三浦の気持ちを示していた。22日に地元テレビ局の番組に出演するため、21日に大阪入り。番組出演自体は前から決まっていたことだが、三浦の大阪入りを知った阪神首脳がこの日、2回目の交渉を打診したところ、三浦も二つ返事で受諾した。

 三浦にとって、阪神移籍は特別な意味を持つ。関西出身であり、両親は大阪市内で生花店を営む。父親は阪神岡田前監督の私設後援会「岡田会」のメンバーだった。そして、甲子園。20日に行われた阪神との1回目の交渉では、沼沢球団本部長から「来年、新しくなる甲子園で三浦投手の集大成を見せてくれ」という言葉をもらった。奈良・高田商時代に目指した聖地のマウンド。高校球児としては立てなかったが、プロ三浦にとって大きな魅力であるのは間違いない。

 阪神の熱意は提示条件にも現れていた。3年11億円は、横浜の3年10億円を上回る。さらに、最大5年の契約延長も検討されている。三浦は金額を最重視しているわけではないが、1年でも長い現役をという三浦の希望にかなっている。

 ここまで一貫して、移籍か残留かの明言は避けている。まず、FA宣言するかどうかに熟考を重ねた。横浜首脳とは、7月から10回近い交渉を重ねてきた。佐々木社長が「お互い、話は尽くした」というほどで、横浜の考えは十分に伝わった。頭を悩ませたのは横浜への愛着だ。プロ入り以来、17年間プレーしたチームへの思いは測りがたい。だが、「年齢的にも他球団の話を聞けるチャンスは最後と思っていた。宣言しないで後悔するよりは、手を挙げていろんな話があれば聞いてみたい。それで、しっかり考えてみたい」と、最終的にFA宣言を選択。20日の阪神との交渉後も「(移籍か残留か)気持ちは五分五分」と言ったが、移籍の1歩を進めた。

 今後は、阪神と最終的な交渉を終えたあと、再度、横浜首脳と話し合い、直接、移籍の意思を伝える。23日は横浜のファン感謝デー。27日には選手会納会もある。移籍の意思を正式に表明するのは、球団行事をきちんと済ませたあとになりそうだ。