1番奪回だ-。広島梵英心内野手(28)が2日、広島市内の球団事務所で契約交渉を行い、初のダウンとなる800万円減の3500万円で更改した。今季は出場97試合で打率2割2分6厘と過去最低の成績。昨年99試合を打った「1番」は1度もなかった。横浜を戦力外になった石井の加入も決定。梵は来季へ向けてレギュラー死守とリードオフマン奪回を誓った。(金額は推定)

 初のダウン提示も納得のサインだった。2割2分6厘、1本塁打、17打点。3年目にして打撃3部門で最低の成績。「今年はいい経験だった」。静かに、来季への雪辱を期して梵は話し出した。

 開幕カードは2番に座ったが、4月以降は7番、8番…。1番と4番以外は全部打った。4月25日の時点で2割3分台と極度の不振。そして4月26日、故障以外ではプロ初となる2軍降格となった。復帰後も調子は上がらず、7月下旬に2度目の登録抹消。最後まで本来の梵ではなかった。凡退にイラ立ち、ヘルメットをたたきつけて“懲罰交代”を命じられたこともあった。「いろんな苦い思い出があります」。

 このまま終わるわけにはいかない。石井の入団も決まり、遊撃争いはいっそう激しくなる。「石井さんは、ライバルとして見ている。1年1年が勝負。今まで以上に刺激になる」。今後は、12月中旬にも横須賀市内の日産自動車グラウンドに“里帰り”を予定。「休むつもりはない。めちゃくちゃ(バットを)振る。朝9時から6時までみっちりと」。アマチュア時代を過ごした場所で“原点”に戻り、来季への糧にする。

 今季は最後まで「1番」に座ることがなかった。リードオフマンへのこだわりは強い。「自分は1番をうたないといけない」。昨季は1番で99試合に出場し、97本の安打と12本の本塁打を放った。「今年はいろんなところを打ったけど、1番を打ちたいという気持ちでいる」。1番・遊撃を取り戻すことが、梵復活のキーワードになる。【網孝広】