中日が長期契約連発で主力流出阻止に成功した。17日、名古屋市内の球団事務所で森野将彦内野手(30)荒木雅博内野手(31)と相次いで年俸変動制の5年契約を結んだ。いずれも年俸は成績に応じて変動する。前日16日に5年契約を結んだ井端弘和内野手(33)とあわせ、FA権を保有する主力3人が来季以降も中日の顔となる。来季年俸は森野が1000万円減の1億2000万円プラス出来高、荒木が1500万円増の1億5000万円プラス出来高となった。(金額は推定)

 中日が森野、荒木と相次いで5年契約を結んだ。森野は今季国内限定のFA権を取得し、荒木は移籍先を問われない“完全FA権”を獲得。今季の契約次第では、残留しても毎年オフに流出のリスクが生まれるところだった。前日の井端を含め、権利を保有する主力3人と5年契約に成功。交渉役の井手編成担当は「引き留めというより両者(の思惑が一致した)。この3人を軸にしてまわりを色づけしていこうということ」と説明した。

 球団は“チーム解体”の危機を未然に防いだことになる。昨オフ福留がFA権を行使してカブスに移籍。今オフも川上が移籍前提でFA宣言した。権利取得した主力を次々に手放していけば、チームづくりに支障をきたしかねない。チーム状況と選手のニーズをすりあわせ、年俸を保障しない代わりに出来高を高く設定する長期契約で落ち着いたようだ。

 森野は来季1000万円減の年俸1億2000万円プラス出来高となった。今季リーグ5位の打率3割2分1厘をマークしたが、左ふくらはぎ肉離れなどで96試合出場にとどまったことが響いた。それでも「年俸1億を超えた選手はそれなりの責任がある。公傷を主張するつもりはさらさらなかった」と納得。打率3割2分、30本塁打、100打点の目標を掲げた。

 荒木は来季1500万円アップの1億5000万円プラス出来高となった。打率2割4分3厘ながら、体調不良を押してほぼ全試合に出場したこと、5年連続30盗塁したことが評価された。「5年後は30代半ばになるので最後(引退)までやっていくのかな」と骨を埋める覚悟も示した。

 落合監督は徹底した競争主義を打ち出しているが、主力流出を未然に防げたことは大きい。新たなチームづくりは井端、荒木、森野の5年契約トリオを中心に進められる。【村野

 森】

 [2008年12月18日10時18分

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