<オープン戦:中日1-3楽天>◇28日◇ナゴヤドーム

 楽天田中将大投手(20)が28日、中日とのオープン戦(ナゴヤドーム)で先発し、いきなり150キロを連発、5回3安打無失点5奪三振と見事な投球をみせた。WBC日本代表では中継として2回3分の1しか投げられなかったが、先発への不安を一掃するかのようにストライク先行の安定感ある投球で最速151キロもマーク。野村監督も「素晴らしい内容だった」と絶賛した。現時点では開幕2戦目4月4日の日本ハム戦(札幌ドーム)の先発が有力だ。

 あいさつ代わりの1球が、わずかな不安を消し去った。初回、カウント1-0から田中が投じた外角高めの直球を、スピードガンは151キロと感知した。「1球目も150?

 その2球はそこまで速いとは思わなかった」と戸惑うほどだ。WBCから帰国後の実戦初登板で、いきなり自己最速にあと1キロと迫った。刺激的で濃密な1カ月を過ごした男が、力強さを身につけて帰ってきた。

 今年に入って初めて日本球での登板、しかも先発。ボールの感覚や、長いイニングを投げきるスタミナについて「どれだけ投げられるかの確認」をしたが、結果は万全だった。球威のある直球は、当てられてもフェアゾーンに飛ばず、ファウルばかり。自然と投手有利のカウントが出来上がった。佐藤投手コーチも「ファウルになるのはいい球がいっているということ」と合格点を出した。

 周囲が心配する体調面も問題はなかった。同じくWBCからチームに戻った岩隈は時差ぼけを訴えた。田中は「向こう(米国)に行った時の方がきつかった。帰って来てもそんなに気にならない」と、平気な顔をしていた。「シーズンに切り替え?

 はい、できています」。世界一のシャンパンファイトで大いにはしゃいだサムライ戦士は、心身ともに「楽天田中」に戻っていた。

 悲願のAクラス入りを目指すシーズン開幕まであと5日。今季の初先発は、岩隈に続いての開幕2戦目を任されることが有力だ。野村監督も「今日に限っては堂々と素晴らしい投球という印象。岩隈と田中に関しては心配していないよ」と安心した笑みを浮かべた。田中は「やることは特別変わらない。自然体で(シーズンに)入っていければ(いい)」。気負いもせず、ただ自分の仕事を果たすのみ。最高峰を体験した20歳が、また1つ上の領域に足を踏み入れた。【小松正明】

 [2009年3月29日9時28分

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