<ソフトバンク1-9日本ハム>◇10日◇福岡ヤフードーム

 打者よりも、抑えるのに必死だったのは、緩みそうな口元だったかもしれない。日本ハム・ダルビッシュ有投手(22)が痛快な今季初勝利に、ご満悦だった。相手はソフトバンク和田。4月3日開幕戦で敗れた楽天岩隈に続く、2戦連続のエース対決を制した。余力十分で8回、90球でわずか3安打。2戦連続の完投目前だったが、あっさり降板した。「(梨田監督に)休んだ方がいいんじゃないか、と言われたんで『じゃあ、どうぞ』っていう感じ」。春らしく、軽やかにマウンドを譲った。

 1回1死から2番森本に、今季初四球を与えた。2死後、松中のライナー性の打球が右翼の名手・稲葉へ。落下点に入りチェンジかと思いきや、打球は右翼を転々とした。照明と打球が重なったため失策。「稲葉さんにはいつも助けてもらっているんで。気持ちを切り替えた」。先制点を献上したが、後には引きずらなかった。

 頭脳的な投球で、大勝へと誘った。奪った三振は「5」。打たせて取る投球で、攻撃のリズムをつくった。早いカウントで直球待ちと感じた、相手打線の裏をかいた。ポイントはスタメンに6人並んだ左打者。内角はカットボール、外角へはシンカー。ともに140キロ台の直球系の2球種で、バットの芯を丁寧に外していった。「狙っている相手に、あえてストレートを投げなくてもいいでしょ」。ひらめきで、主導権を握り続けた。

 チームは開幕3連敗後、3連勝で借金完済で勝率5割。梨田監督も「ダルビッシュは復活と言っていいくらいだったね」と目を細める白星になった。ソフトバンク戦は7連勝と、抜群の相性の良さも誇示した。福岡ヤフードームでプロ入り6戦6勝。「ボールを操れる感覚がある。どこが相手でも同じ」。またも軽快に、博多の夜を支配し、09年の白星街道をスタートした。【高山通史】

 [2009年4月11日8時13分

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