<横浜4-5広島>◇22日◇横浜

 男・村田が帰ってきた。WBCで右太もも裏を肉離れした横浜の村田修一内野手(28)が、広島戦で今季初出場した。当初は交流戦(5月19日~)での復帰を目指していたが、最下位にあえぐチームを救うべく約1カ月も早く戻ってきた。4打数無安打に終わり、チームも敗れたが、守備では横っ跳びで好捕するなど4番三塁でフル出場して奮闘した。

 つないでくれ。1点を追う9回裏2死一塁。村田がネクストサークルで内川を見守った。空振り三振で敗戦が決まると、静かに一塁側ベンチへ戻っていった。WBCで右太もも裏肉離れの故障から約1カ月での復帰戦。勝利で飾ることはできなかった。

 村田

 楽しかったです。みんな応援してくれた。動きは大丈夫です。あとは結果。いいところで走者をかえせなかったし。簡単には打たせてくれないですね。

 すがすがしい表情で振り返った。全治6週間の診断を圧倒する回復ぶりだった。3月19日韓国戦の故障後は5月の交流戦での復帰を目指した。診察を繰り返すたびに状態はスピードを上げて戻っていく。交流戦前、5月初旬と実戦メドは繰り上がった。たった1カ月での1軍復帰。驚異的だった。

 リハビリ中も心はナインと戦っていた。開幕6連敗でのスタートに、ベイスターズ球場で厳しい表情を見せた。「工夫がない。プロなんだから、結果を出さないと。村田がいないから勝てないではしようがない。(ナインとは)誰にも電話してないですよ」。適時打欠乏症の打線に甘い言葉をかけることはなかった。

 待ちに待った復帰戦で、残念ながら結果を出せなかった。3回裏2死満塁での2打席目は空振り三振。5回裏2死二塁でも二ゴロと走者をかえせなかった。だが戦えることがうれしかった。「(声援が)大きかった。うれしかった」。

 試合中はグルグル巻にしている患部のテーピングとサポーターも、練習中は施さずに慣らしている。守備も無難にこなした。大矢監督も「ベンチの中で村田の声が出ると、若い選手がゲームに集中すると感じました」と目を細めた。結果だけではない。チームの精神的支柱が帰ってきた。【今井貴久】

 [2009年4月23日8時43分

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