<巨人7-3横浜>◇7日◇東京ドーム

 横浜ドラフト2位の新人、藤江均投手(23)が、プロ初先発で首位巨人を追い詰める投球をみせた。藤江はNOMOベースボールクラブで教わった野茂直伝のフォークボールも使って6回2/3を1失点4奪三振、勝ち投手の権利を持って交代した。チームが8回に逆転され、初勝利はならなかったが、堂々としたマウンドで試合をつくった投球は、今後への可能性を感じさせた。

 三塁側ベンチで敗戦を迎えた藤江は、しばらく座ったままだった。腕を組み、巨人ナインの喜ぶ姿を目に焼き付ける。2つ年下で抑えの山口が謝りに来たが責めることなどない。

 藤江

 (山口)俊とはよくご飯に行くけど、打たれようと思って投げたわけじゃない。謝る必要もないと思う。俊で勝つこともあるし、自分がゲームを壊すこともある。首位チームに投げられたことはよかった。

 寺原の故障離脱で回ってきたプロ初登板初先発は、快投だった。マウンドで堂々と打者に正対。初回に小笠原の打球が右肩を直撃したが「プロの洗礼というか気合が入りました」と痛さなどおくびにも出さない。続くラミレスをスライダーで遊ゴロに仕留めた。野茂氏が現役時代のオフにNOMOベースボールクラブを訪れた時、頼んでフォークボールを教わった。この日は「フォークが調子悪かったんで」と修正し、多投したチェンジアップが効いた。強い腕の振りで7回途中まで1失点の大仕事だった。

 明るいキャラクターだ。大矢監督は試合前「キャンプで新人たちと食事したとき、ひとりで盛り上げていた。いいタマだなと思った」と評した。1月の合同自主トレでも「グラウンドではみんなライバル。有名な投手、三浦さんとかにも負けたくない」と言い放った。イースタンで防御率0・65の結果を残しつかんだチャンス。登板前日(6日)も「大観衆の前の方がおもしろい」。自信があった。

 ベンチに戻るたびにナインから頭をたたかれた。巨人原監督さえも「相手を褒めてはいけないんだろうけど、全身を使って投げていた。ウチの投手陣も参考にしてほしい」とうならせた。だが評価より、チームの勝利がほしかった。

 藤江

 チームが勝たないと意味がない。まだまだこれからなんで、自信にするところは自信にしたい。

 大矢監督は「内容は抜群だった。勝たせてやりたかったけど。今回の内容なら(先発ローテーションで)回していけると思う」と先発入りに合格点を出した。ハマのローテに厚みと明るさが増したことに違いはない。【今井貴久】

 [2009年5月8日9時38分

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