楽天が、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でベストナインにも選ばれた韓国の4番、金泰均(キム・テギュン)内野手(26=ハンファ)獲得に動きだすことが7日、分かった。米田純球団代表(46)が近日中に韓国に渡り、視察する。金は今オフにフリーエージェント(FA)になるが、WBCでの強打が世界的に知れ渡ったことで、複数球団での争奪戦は必至。編成トップで、親会社に獲得資金を具体的に提案する立場にある同代表が直接視察に行くことは、楽天の獲得意欲の表れでもある。

 楽天が「アジアの大砲」獲得に乗り出した。金は今春のWBCで侍ジャパンと覇を競った韓国強打の4番。全9試合で打率3割4分5厘、3本塁打、11打点と活躍、満票で一塁手のベストナインにも選出された。MVPを獲得した松坂からは東京ドームの看板直撃の特大弾。持ち前の長打力は韓国の準優勝に大きく貢献した。楽天のエース岩隈とも対戦し、決勝打を放つなど勝負強さも兼ね備えている。

 韓国球界トップクラスの若き大砲だ。同国リーグでも6年連続2ケタ本塁打をマーク。昨季は自己最多タイとなる31本塁打を放ち、初のタイトルを獲得した。ゴールデングラブ賞も2度受賞するなど、守備の評価も高い。今オフにFAを取得する予定で、すでに阪神が3月から調査を開始するなど、日本国内の複数球団で争奪戦が展開されることは必至の状況だ。

 楽天の球団関係者は米田代表の渡韓について、「新型インフルエンザ次第だけど、(米田代表が)行く」と話した。世界中を混乱に巻き込む新型インフルエンザの影響で、渡韓の詳細日程は確定できない状況だが、楽天としては早めに球団トップが現地に赴くことで、誠意をアピールしたい思惑もある。球団関係者は「他球団も手を挙げるだろうな」と、FA戦線は激戦になることを予想しているが、1歩も引き下がるつもりはない。昨オフも積極的に外国人選手獲得に動き、ヤンキースの先発だったラズナーを獲得。開幕以来しっかり先発ローテーションを守り、5試合に先発し2勝1敗。チームの首位快走に貢献している。

 年々、戦力強化を施しているが、長打力不足は解消されていない。今季もここまでチーム本塁打は12球団でもっとも少ない12本で、年間約62本ペース。広いKスタ宮城の影響もあり、年間本塁打数が3ケタに乗ったのは、過去4年で07年(111本)の1度だけ。球団創設以来の課題を克服する上でも、金はうってつけの人材と言える。ここまで球団最多の貯金8と、首位を快走する楽天だが、来季に向けての準備も抜かりはない。

 [2009年5月8日8時6分

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