桜井よ、早くレギュラーを取らんか!

 阪神真弓明信監督(55)が18日、「未完の大砲」に怒りのゲキを飛ばした。前夜に2本塁打を放った桜井広大外野手(25)の話題で、就任以来初めて声を荒らげた。「調子が良ければ、ずっと使う。なんで併用になるのか、ということ」とレギュラーに定着できないプロ8年目にいら立ちを見せた。また坂井信也オーナー(61=電鉄本社社長)がシーズン中のコーチ陣の見直しを球団フロントに提案する考えがあることが明らかになった。首位巨人と13・5ゲーム差に開き、猛虎にピリピリ感が高まってきた。

 レギュラーがひとつ空いているのに、なぜ奪わない?

 真弓監督がいつもの温和な“仮面”を脱ぎ捨てた。「調子がいい選手を使うということだから、調子が良ければ、ずっと使う。最初から併用なんて考えていない。なんで併用になるのか、ということ。そうやってレギュラーをとるもんだ!」。甲子園での全体練習。報道陣から桜井の話題を振られて、思わず声を荒らげた。就任以来、クールを貫いてきた指揮官が初めて見せた光景だった。

 桜井は前日17日の日本ハム戦で1試合2本塁打を記録。今後のスタメン出場のチャンスが広がったが、これは自身の6月初安打でもあった。「わざわざ(実力が)上の選手を外してまで、下の選手を使わない」。他の選手と併用されるのは、実力を出し切っていないからだと言い切った。

 真弓監督にしてみれば、前夜の発奮は遅すぎるとの思いだ。若手育成と勝利追求という難題をあえて目標に掲げて臨んだ1年目シーズン。今季はオープン戦から不振でも出場機会を与えてきた。メンチが2軍にいる今、ライバルは葛城や林だが、右翼定着に最も近い存在であることは変わらない。将来の大砲候補と大きな期待をかけるからこその怒りのゲキだった。

 首位巨人とのゲーム差は13・5に開き、逆転優勝は極めて難しい状況だ。「とにかく自分のチームの状態を上げていくのが、最優先」と前夜、真弓監督は地道に戦力の整備に励む考えを示したが、時間的猶予は多くない。だからこそこの日、戦闘モードをあらわにした。上位球団を見れば、フレッシュな選手が躍動している。ブラゼルの加入で打線は一時の貧打から抜け出したが、やはり若手の台頭は必要不可欠との思いは強い。

 桜井自身も指揮官の思いは肌で感じている。この日は全体練習でフリー打撃や外野ノックなどで汗を流した。「個人的にはあれ(2本塁打)で乗って、このまま調子を上げていきたい。簡単じゃないけど、これを続けていかないとレギュラーはないから」。1試合だけの爆発では意味がないことは分かっている。20日からは交流戦最終カードとなる楽天戦(甲子園)。ここで弾みをつけて、リーグ戦再開でレギュラーに定着。そんなプランが現実になれば、チームは再び勢いを取り戻すに違いない。【田口真一郎】

 [2009年6月19日10時41分

 紙面から]ソーシャルブックマーク