ソフトバンクの誇る中継ぎ右腕が、半世紀ぶりの快挙を達成した。29日、今夏オールスターのファン投票選出選手が発表され、ルーキーでは12球団でただ1人、摂津正投手(27)が選ばれた。ホークス新人投手のファン投票選出は、1958年(昭33)の杉浦忠投手以来51年ぶり。リーグトップの21ホールドポイント(HP)を稼ぐ男が、また一つ勲章を手中にした。ソフトバンクではファン投票で小久保、川崎、選手間投票で長谷川、松中が夢舞台の出場を決めた。

 2位に10万票近くの大差をつけたファン投票選出に、ソフトバンク摂津がルーキーらしく初々しい笑顔を浮かべた。「予想外で、思ってもいない結果なので、うれしいです」。パ最多の21HPを稼ぐ右腕が、名実ともに球界を代表する中継ぎ投手として認められた。しかも、ホークス新人投手では、58年杉浦忠以来、実に半世紀ぶりのファン投票選出だ。ファルケンボーグ、馬原とともに勝利の方程式「SBM」の一角を担ってきた摂津は「本当に励みになります」と大舞台へと目を輝かせた。

 精密機械のような制球力を武器とする摂津も、球宴だけは特別だ。「この前の阪神戦(甲子園)では対戦できなかったので対戦したいですね。直球中心の力と力の勝負をしたい」と挑戦を希望した相手は、阪神金本。5月20日の阪神戦(福岡ヤフードーム)では投ゴロに仕留めたが、6月7日・甲子園での対戦では敬遠策をとったスラッガーとの勝負を心待ちにしている。

 もちろん、後半戦への弾みにもするつもりだ。「(球宴は)勉強になると思うし、多くの投手と話したい」。06年に、同僚の藤岡がマークした新人最多記録の31HP(ホールドは26)更新も視野にいれる右腕は、さらなる成長を誓っている。高山投手コーチも「(球宴出場は)彼にとってマイナスのことは1つもない。本当にうれしい」と背中を押した。

 もっとも、まずは目の前の戦いに集中する。チームは30日、今季初となる単独首位浮上をかけて、オリックスとぶつかる。ここまで開幕直後も含めて同率首位浮上は3度あるが、その次戦はいずれも敗戦。「1年目で(球宴に)選んでいただき、本当に感謝しています」とこの日、どこまでも謙虚な姿勢を崩さなかった背番号「50」。だが、マウンドでは夢舞台をつかんだ大胆な投球で、チームのジンクスを破り、首位堅守に貢献するつもりだ。

 [2009年6月30日12時19分

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