<広島3-1阪神>◇8日◇ハードオフ新潟

 阪神が再び借金10に転落だ。不振の新井貴浩内野手(32)を広島時代の05年以来4年ぶり、阪神移籍後初めて主軸から外す荒療治に出た。だが、広島ルイスの前に3回以降は1人の走者も出せず、わずか3安打。9イニングでは両リーグ最短2時間16分で敗れた。ロードでは9勝24敗3分けと苦手ぶりを露呈。しばらくは新井の6番起用を継続し復調を待つ方針。我慢の時が続く。

 新井の名前がついにクリーンアップから消えた。長い不振から脱することができず、6番に降格。主軸から外れたのは、移籍後は初で、広島時代の05年9月にまでさかのぼる。真弓監督は「つながりが良くなればいいと思ったのだが…」と力なく話したように、刺激的なさい配は勝利に結びつかなかった。昨年、防御率1点台に抑え込まれた天敵ルイスに、3回以降ノーヒット。8回は新井、鳥谷、代打狩野がいずれも初球を打ち、たった3球で三者凡退。淡泊な攻めが目立ち、35年ぶりの新潟遠征は無残な2連敗に終わった。

 開幕当初は鳥谷-金本-新井のクリーンアップでスタートしたが、残ったのは金本だけ。金本新井のコンビを分けるのは、いわば最後の「一手」だ。打率2割2分前後で低迷する新井の現状に、首脳陣も決断せざるを得なかった。和田打撃コーチは「まず状態を戻してもらわないことには。上がってくる兆しがなかったから」と説明する。プレッシャーの少ない打順で再起をかけ、2回には中前打を放ったが、本調子にはかなりの時間を要しそうだ。新井は打順に関する問いかけには無言。ルイスの質問にも「う~ん」と話すだけ。うつろな表情が混迷の度合いを表していた。

 4番金本、5番ブラゼルの並びは変わらないが、新井が復調するまでは、3番に葛城や桜井の併用が予想される。この日は葛城が期待に応え、先制タイムリーを記録したが、多くを求めるのは酷だ。起死回生を狙った新オーダーも3安打1得点。打線のつながりを生み出すまでには至っていない。これで敵地では9勝24敗3分けと勝率は3割にも満たない。「勝てないね」と真弓監督も苦悩をにじませた。天敵攻略や敵地の苦戦など多くの問題をチームは残し、改善される兆しもない。攻撃面では打開策も尽きた形だ。

 反攻の7月もこれで3勝4敗と黒星が先行した。借金は「10」に逆戻り。不安な状態のまま、10日から甲子園で巨人を迎える。早ければ11日の同カード中にも自力優勝が消滅。低空飛行を続ける真弓阪神が瀬戸際に立たされた。【田口真一郎】

 [2009年7月9日11時30分

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