<オールスターゲーム:全パ8-10全セ>◇24日◇札幌ドーム

 昨年は鼻血、今度は打球直撃と、またしてもアクシデントに見舞われた。24日、マツダオールスターゲーム第1戦。全パの先発日本ハム・ダルビッシュ有投手(22)が1回で緊急降板した。1回2死一塁から巨人アレックス・ラミレス外野手(34)のライナーを右肩に受けた。25日、札幌市内の病院で精密検査を行うが、結果次第では31日のソフトバンク戦(札幌ドーム)での先発予定が変更となる可能性も出てきた。

 ダルビッシュが、ゆっくりとした足取りでタクシーへ乗り込んだ。自らの負傷降板によるスクランブル登板でピンチを救った楽天田中らとともに、札幌市街へと消えた。「今まで(打球直撃は)は腰とか足だったけれど、肩なんで…」。打撲とみられるが、25日に札幌市内の病院で精密検査を受けるため、第2戦からも姿を消すことになった。

 衝撃シーンは、剛球ショーの序章で起きた。全パのエースとして先発。巨人坂本、ヤクルト青木から速球勝負で2死を奪った。巨人小笠原に中前打を浴び、続くラミレスで沈んだ。2球続けた150キロをジャストミートされる。向かってくる打球。上半身を一塁方向へひねり、よけようとしたが、右肩に直撃。投手強襲安打だったが、小笠原の走塁死でそのまま攻守交代。ベンチへ下がったが、予定されていた2回のマウンドに上がることはなかった。

 降板直後は強い続投意欲を見せていたが、少しずつ痛みが出たために最終的には降板を了承したという。1失点完投した22日のロッテ戦から中1日での登板。当初はコンディションが心配されたが、14球のうち直球が12球。そのうち11球が150キロ超で、国内での自己最速タイ154キロを3球もマークしていた。04年に本拠地移転後、初の球宴。超満員3万8370人のファンが夢を見るような投球を見せていただけに、失望にも似た悲鳴が漏れた。

 強い責任感があるだけにマウンドを守れないことが無念だった。公式戦の疲労が残る中でも「渡辺監督も苦労すると思うので2イニング投げます」と志願したが、役目を果たせなかった。2軍の千葉・鎌ケ谷で調整中に、ワクチンと交換できるペットボトルのフタ収集の活動をしていることを知った。1軍でも-という思いから、前カードのロッテ戦では「ダルビッシュ」の名前で張り紙し、1軍も協力するよう呼びかけた。手製の容器をロッカー室などに設置した。わがままと誤解されることもあるが、そんなチームを支える献身的な思いで、マウンドも守ってきた。

 「本来ならもう1イニング投げるつもりでいましたので、こういう形で降板するのは残念」と試合中に球団広報に託した思いが、無念さを表していた。1年に1度の祭りの舞台から1イニングだけで、去った。患部は内出血し、肩を上げる動作時に痛みがあるという。31日のソフトバンク戦の先発予定も、診断結果次第では変わる可能性がある。しかし球団関係者に弱音を吐くことなく「超人的な回復を見せます」と宣言したという。首位争いの真っただ中だけに、後半戦への影響が心配される。【高山通史】

 [2009年7月25日9時19分

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