<広島4-0中日>◇20日◇マツダスタジアム

 中日が80試合ぶりに完封負けした。13連勝中だった広島戦で打線が5安打に封じ込まれ、5月5日広島戦(ナゴヤドーム)以来今季5度目の完封負けとなった。それでも久びさの完敗で、ここまでどんな相手でも点をもぎ取ってきた、しぶとさが際立った。首位巨人とのゲーム差は2・5に開いたが、最大9ゲーム差からのミラクル快進撃の勢いは簡単に止まらない。

 落合博満監督(55)はうっすら笑みを浮かべ、ひと言つぶやいて迎えのバスに消えた。「野球って不思議だね、ホントに…」。13連勝中の広島戦に自信を持っていた打線が、4投手を攻略できず5安打完封負け。これが5月5日広島戦以来、実に80試合ぶり5度目の0封負けだ。久しぶりに味わうもどかしさを短い言葉に込めた。

 打てそうで打てなかった。先発斉藤に対し6イニングで3者凡退は2度だけ。2回と6回に得点圏に走者を進めて追いつめた。6回2死一、二塁では、5番和田の弾丸ライナーが中堅手のグラブに収まる不運もあった。和田は「(斉藤は)今日はよくなかったと思います」とぶぜん。斉藤から1安打した3番森野も「(敗因は)ピッチャーがどうとかいうんじゃない」と話した。

 打線の沈黙以上に首脳陣を不思議がらせたのは、広島戦の4敗はすべて完封負けということだ。そのうち2戦が継投でかわされている。石嶺打撃コーチは「80試合ぶり?

 う~ん、4敗がぜんぶだからね。どういうわけかね…」と苦笑いするしかなかった。

 それでも完封負けで逆に際立つのは、これまでの79試合の間、どんな相手にも一太刀浴びせてきたしぶとさだ。バントや盗塁、タッチアップ、進塁打を駆使して次の塁に走者を進め、内野ゴロの間に1点を取るスタイル。川相内野守備走塁コーチは「あたりまえのこと」と話していた。

 この日も6回2死一塁から本塁打王争いトップの4番ブランコが、悠然と四球を選んだ。自己タイの15試合連続安打中だった井端も、2点を追う8回1死走者なしで際どいボールを見逃して四球を選び、無安打に終わった。「2点差だったんで塁に出ればまだチャンスがあると思ったから」。犠牲の精神が徹底されているから、簡単に点が入る。

 敗れてなお強し。抑え込まれた悔しさと、首位巨人に2・5差に離されたうっぷんは、次戦にたたきつける。【村野

 森】

 [2009年8月21日12時13分

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