横浜スタジアムで27日、試合中のグラウンドに外野スタンドから観客が落下し意識不明の重体に陥る事故が発生した。落下したのは静岡県沼津市の男性(36)で、8回表、フェンスに飛んできたボールを捕ろうとして落下。横浜市南区の横浜市大付属高度救命救急センターに搬送された。横浜-阪神戦は約2分間の中断後再開された。

 横浜スタジアムで行われた横浜-阪神戦の試合中、右中間スタンド最前列から男性が転落した。神奈川県警加賀町署によると、男性は静岡県沼津市の会社員後藤康彦さん。救急車で横浜市南区の横浜市大付属高度救命救急センターに搬送されたが、意識不明の重体で、集中治療室(ICU)で手当を受けている。

 男性が転落したのは、横浜4点リードの8回表、阪神の先頭打者・代打桧山が右中間に二塁打を放った直後だった。観客席にいたほかの観客によると、男性はフェンスにダイレクトでぶつかった打球を捕ろうとしてフェンスから身を乗り出したものとみられる。捕球できなかったばかりか、勢い余って高さ約5メートルのフェンスから一気に落下したという。

 右翼の外野の守備に就いていた横浜のライト吉村は突然の事態にぼうぜん。「(転落したのは)見ていない。ドンと音が聞こえて振り返った。そうしたら血が出ていた。僕はどうすることもできなかった」。吉村は落下した男性に駆け寄ったが、男性はあおむけに倒れたまま動かなかったためチームトレーナーを呼んだ。男性は当初「自分で落ちた」とトレーナーらに話したが、その後意識を失い水を掛けても反応しなくなった。心臓も停止状態に陥ったことからタンカでグラウンド外の医務室に搬送、救命措置を続ける一方で午後8時40分すぎに119番通報した。

 約2分間の中断後再開された試合は、4-1で横浜が勝利を収めた。横浜の江川チーフトレーナーは「心肺停止で意識がない状態だった。10分ぐらい心臓マッサージをしたところ脈が戻ったので救急隊員に託しました。多分、頭から落ちて首を強く打ったのではないかと思われます」と話している。球団関係者によると、男性は友人4~5人と観戦に来ていたが、落下時はかなり酒に酔っていたという。

 横浜スタジアムの鶴岡博社長は「球場の創業以来かかわっているが、初めてのことで想定外。安全は確保しなければならない」としている。横浜の田代監督代行も「意識がないようなので心配です」と話している。

 [2009年8月28日8時36分

 紙面から]ソーシャルブックマーク