<阪神3-1巨人>◇30日◇甲子園

 今季最長の5カード連続勝ち越しを呼び込んだのは、間違いなくこの男の粘りだった。阪神ベテラン左腕下柳剛投手(41)だ。巨人打線に7安打を浴びながら、失点は内野ゴロの間に失った2回の1点のみ。しかも失策で出塁した走者が得点しただけという、自責0の投球だった。

 勝負どころを、厚い信頼関係で乗り切った。打線が勝ち越した直後の6回。2死一、三塁のピンチで8番脇谷を迎え、カウント2-1からファウルされたときだった。41歳で同い年の捕手矢野が声を掛け、下柳も歩み寄る。ほんの数秒の打ち合わせだったが、お互いの思惑は一致していた。2球続けてフォークボールをワンバウンドさせ、空振り三振で無失点に仕留めた。

 7月12日の巨人戦(甲子園)以来となる6回を投げきり、今季7勝目を手にした下柳は「矢野のリードのおかげや。ピンチはない方がいいに決まっている」と多くを語ることはなかったが、一方の矢野は「お互いの気持ちの確認。半端な気持ちで勝負したくなかったから」と説明した。

 今季最後となった本拠地・甲子園での伝統の一戦。打線の援護に中継ぎ陣の奮闘も光ったが、ベテランバッテリーの味のある“攻め”も見過ごしてはならない。

 [2009年8月31日11時29分

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