<中日1-8広島>◇3日◇ナゴヤドーム

 中日落合博満監督(55)のダブルのカンフル剤投入が不発に終わった。これまで新型インフルエンザ禍に見舞われた2軍との選手入れ替えを極力控えてきたが、リスクを覚悟して大量4人の入れ替えを敢行。さらに1軍昇格即先発起用しながら守備で精彩を欠いた野本を、藤井とともに4回途中で交代させる荒療治に出たが、大敗を喫した。野本は1軍滞在10時間で2軍降格が決まった。試合後、広島戦の同一カード3連敗は03年以来6年ぶり。試合のなかった首位巨人の優勝マジックは20に減った。

 無表情でベンチを出た落合監督が、真鍋球審に選手の交代を告げた。4回、4点を失い、なお2死一、二塁の場面。ベンチ前であわてて肩をつくった小池と英智に代わり、中堅から藤井、右翼から野本が呼び戻された。ポーカーフェースの指揮官が命じた電撃途中交代。「何の説明もコメントもいらないゲームってのは、こういうゲームだ」。がむしゃらさが伝わらないプレーをとがめる、激しいメッセージだった。

 問題のプレーは続けざまに起こった。まずは藤井の中堅守備だ。0-0の4回2死満塁で8番倉の打球が頭上を襲った場面。着弾点を予測して真っすぐ追うべきところをもたつき、走者一掃の二塁打とした。さらに、続く投手大竹の二塁後方への当たりに対し、右翼野本が打球処理を中堅に譲り、4点目を許した。笘篠外野守備走塁コーチは「捕れないとしても捕ろうという姿勢がね。今後に生かしてほしい」と話した。

 首位巨人に6ゲーム差で迎えた一戦。落合監督は禁を破り、1、2軍の大幅入れ替えを敢行していた。この日までに2軍選手、2軍スタッフ9人の新型インフルエンザ感染が発覚。治癒して現場復帰した選手もいるが、1軍へのウイルス進入を食い止めるため入れ替えを極力控えていた。ところがこの日、4選手の出場選手登録を抹消し、井上、野本、中村一、デラロサを昇格させた。左手首痛の荒木を2戦連続で欠場させ、デラロサと野本をスタメンで使った。リスクを覚悟し、勝つことへの執念を見せていた。

 指揮官の二重のカンフル剤投入も実らなかった。4回にさらに2点を失うなど計8失点。7回、小池の適時内野安打で一矢報いるのがやっとだった。試合後、消極的に映った野本の2軍降格が決まるなど、さらに厳しい姿勢を見せた。今季13連勝するなど相性のよかった広島に、6年ぶりの同一カード3連敗。Vマジックを20に減らした首位巨人の独走を、竜はこのまま許してしまうのか。【村野

 森】

 [2009年9月4日11時6分

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