<阪神0-7中日>◇8日◇甲子園

 中日トニ・ブランコ内野手(28)が3安打4打点の大暴れで本塁打、打点の2冠王に返り咲いた。

 相手のミスを見逃さなかった。0-0で迎えた4回1死一塁、阪神先発安藤の直球がわずかに真ん中へ。怪力にはじき返された打球は低弾道で伸びると追い風にも乗って右中間スタンドに飛び込んだ。「入るとは思わなかった。神様のおかげだよ」。好投するチェンに待望の先制点をもたらし、勝負を決めた36号2ランだった。

 8月29日ヤクルト戦(神宮)以来、6試合23打席ぶりの本塁打で目覚めたのか。7回にも安藤から4点目となる右前タイムリーを放つと、9回には西村から右翼線へタイムリーを放ち、二塁へ猛然とヘッドスライディング。独走の本塁打だけでなく、打点でも森野と並びリーグトップに立った。「4番が打てば勝つ」。日ごろ、落合監督が話している通りのゲームだった。

 7日、チームは新潟から空路で大阪に入った。少しの風でも揺れる小型プロペラ機での移動中、ほとんどの関係者は眠ることができなかった。だが、ブランコは新型インフルエンザ予防のマスクをつけたまま到着まで熟睡。どんな状況でもベストを貫くのがプロフェッショナル。初めての日本で全試合出場を続けられる理由がここにある。

 横浜では首位巨人がまた勝った。快勝の喜びとは裏腹に7・5ゲーム差という現実がある。ただ、ブランコはあきらめない。「我々はまだ2位だ。どうなるかは神様しかわからないが、チャンスはある!」。この男が本当に目覚めれば、奇跡は起こるかもしれない。【鈴木忠平】

 [2009年9月9日9時32分

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