<ヤクルト0-9広島>◇9日◇神宮

 神宮でコイ祭りじゃ!

 広島天谷宗一郎外野手(25)が、5回4号3ランで試合を決めた。2、4回にも安打を放ち、今季4度目の猛打賞の活躍で大勝を呼び込んだ。東出のプロ通算1000本安打、小窪の2ラン、栗原も3安打2打点を挙げるなど打線が15安打9得点と爆発。先発ルイスは先制本塁打、さらに今季初完封で9勝目だ。投打がガッチリかみ合ってヤクルトに連勝。クライマックスシリーズ(CS)圏内まで2・5ゲーム差に迫り、ツバメのしっぽをつかんだ。

 打った瞬間は、入るとは思わなかった。天谷は全速力で走った。が、打球は神宮球場の右翼席へ、糸を引くような弾丸ライナーで飛び込んだ。スタンドのヤクルトファンのため息を聞きながら、天谷はダイヤモンドを一周した。6点リードの5回、4号3ランで今季3敗を喫していたヤクルト石川に引導を渡した。

 天谷は「石川さんはイヤな相手ですが、初球から積極的に狙っていきました」と会心の笑み。後輩小窪が9回に2ランを放ったため「初めてのAK砲ですね」と、おどけた。

 天谷は2、4回にも安打を放ち、8月4日の巨人戦以来、今季4度目の猛打賞もゲット。「でも(同じ猛打賞の)東出さんは4本目も打っていますしね」と、後の2打席凡退したことをちょっぴり悔やんだ。

 CS争いに加わろうと奮闘するチームに、自分も乗せられているという。だが、好敵手の存在も見逃せない。最近は相手投手が右か左か、またはその相性などを加味されて、赤松らとスタメンで併用される機会が多い。出場したチャンスをものにして、レギュラーポジション確保のきっかけにしたい。「(赤松らの存在は)もちろん刺激になっていますよ。ライバルだと思っていますしね」と目をぎらつかせる。小早川打撃コーチも「いいライバルがいることは、チームにとってもいいこと」と話す。今季は5月に右手有鈎(ゆうこう)骨骨折で7月半ばまで1軍を離れたこともあったが、今、その存在感は増している。

 ブラウン監督は「今日の天谷の本塁打は効いた」と手放しでほめた。が、天谷は自戒するように「少し前よりは調子いいですが、緩むとすぐにダメになりますから」と表情を引き締めた。CS争いも同じ。一寸たりとも緩んではいけない。10日も勝って、ヤクルトに3タテを食らわせてみせる。【高垣

 誠】

 [2009年9月10日10時41分

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