中日チェン・ウェイン投手(24)が55年ぶりとなる防御率の球団記録更新を狙う。ここまで防御率1・45とセ・リーグトップを快走する左腕は、1954年に杉下氏がマークした球団記録の防御率1・39の更新を視野に入れている。15日の広島戦で先発が予想されるが、8イニング以上をゼロに抑えれば、一時的とはいえ、防御率は「1・39」以下になり、シーズンの大詰めで杉下氏を抜き去ることになる。

 フォークの神様・杉下氏が打ち立てた偉大な記録を更新する可能性が出てきた。14日、ナゴヤドームでキャッチボールやランニングなど、約2時間の練習で汗を流したチェンは「いい内容の投球がしたい。チームのために頑張りたい」と笑顔で話した。シーズン序盤から防御率1点台を守り続け、抜群の安定感を誇る左腕は、半世紀以上前の記録を塗り替えそうな勢いだ。

 調子は上向いている。今月1日の広島戦(浜松)では7回7安打4失点で降板。防御率は1・55まで上がったが、前回登板した8日の阪神戦(甲子園)ではしっかりと修正。阪神打線を2安打に抑えるほぼ完ぺきなピッチングで今季4度目の完封勝利を挙げた。それでもチェンは「前回の投球はまだ満足はしていない。特にコントロール。まだまだよい投球ができる」と貪欲(どんよく)な姿勢を崩さない。

 左の柱として責任を感じている。一時は1ゲーム差まで迫った巨人との差は現在は7ゲーム差まで開いている。チェンは「みんな疲れてるが、ぼくはけが(左肩の張り)で6月は1カ月間休んでいた。吉見さんや朝倉さんたちはぼくの倍くらい疲れているはず。2試合?

 これからは何試合でも行けるようなら、投げるつもりです」と強い口調で話した。9連戦では15日の登板を含めて、2試合に登板することが予想される。

 15日の広島戦(マツダ)で8イニング以上をゼロに抑えれば、防御率は1・39よりも低くなる。あくまでも一時的な数字ではあるが、シーズン終盤の踏ん張り次第では新記録樹立が見えてくる。

 チェンは「とにかくチームが勝てるようにいい内容の投球がしたい。数字はシーズンが終わってから」とチームの勝利が最優先であることを強調した。中日の残り試合はあと18試合。チェンはあと2、3試合の先発で、大記録にチャレンジする。【桝井聡】

 [2009年9月15日11時1分

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