<西武6-10楽天>◇26日◇西武ドーム

 楽天が消滅していたクライマックスシリーズ(CS)進出マジックを8で再々点灯させた。4位西武との直接対決第2ラウンド。両軍合わせて29安打7本塁打の乱打戦を制した。4点を追う5回に7番フェルナンド・セギノール内野手(34)、8番トッド・リンデン外野手(29)、9番中谷仁捕手(30)が球団初の3者連続本塁打。さらにリンデンの2打席連続アーチで、球団タイの1試合4本塁打もマークするなど、粘る西武を振り切った。西武とのゲーム差を再び3とし、悲願の球団初CS進出に向け難所をまた1つクリア。2位ソフトバンクにも0・5ゲーム差とした。

 たまりまくった、チームのうっぷんが一気に爆発した。4点を追う5回、助っ人コンビの連続ソロに続き、中谷が初球をライナーで左翼席最前列に届かせた。「初球を思い切り打つことだけ考えてました。ベンチに帰ったら(1点差で)負けてる雰囲気は全然なかったですよ」と、お祭り騒ぎに顔をくしゃくしゃにした。球団初の3者連続アーチ。野村監督も「一番不思議なのは中谷の本塁打。どうせ打てないからと横向いていたら本塁打、打ちよった」と、ベンチ前でのハイタッチにも出られなかった。直接対決3連戦の初戦を落としたショックも、劣勢に沈んでいた雰囲気も、全部まとめて吹き飛ばした。

 大波に乗ったのは、3連発の2番手を務めたリンデンだ。6回には2打席連続の11号ソロ。7、9回にも適時打を放ち、4安打4打点と暴れまくった。「(1本目は)セギノールが勢いをつけてくれたから、それに乗っただけ。感触?

 間違いなく入ったと思ったよ」と勝ち誇った。日米の野球の違いに激しい気性が度々爆発。首脳陣の悩みの種でもあった。この日も1本目を打った後、ベンチに戻り大声を発した。野村監督は「『何とかミー』って叫んでいたから、何かオレに怒っているのかなと思ってな。昨日、引っ込められたから。もし怒っていたなら抹消だった」と苦笑いした。実際には「フォロー、ミー(おれに続け!)」で事なき?

 を得たが、やんちゃな助っ人の活躍に「明日は4番だな」と、すっかり評価を改めた。

 苦境の中で勝てたからこそ意味がある。CS進出への行方を決める4位西武との3連戦。大事な初戦に田中を先発させながら完敗し、最悪の3連敗がチームにちらついた。この日も4回までに0-4で敗色ムードが濃厚。それでも結果は乱打戦を制しての快勝だ。野村監督は「4年間でこういう勝ち方はなかった。今までなら4点でゲームは終わってる。チームを見直さないといけない。いい方向に成長している」とうなずいた。5回は3連発の直後に渡辺直、鉄平が相手バッテリーのスキを突いて盗塁し、一気に勝ち越し。「スキを突く、油断を突く。相手の心理を見抜く。オレの目指している『無形の力』が育ってきているのは確かだ」と、野村イズムの浸透を実感していた。

 大きな1勝を手にし「向こうは3連勝しないと何も意味がない。2勝1敗ではダメなんだ。1つ勝つのは大変だよ」と、深く息をついた。再々点灯したCSマジックも8とひとケタに突入。野村監督は「あと1になったら教えてくれる?」とおどけたが、27日の直接対決に負けても消えない力強い数字だ。球団初のCS進出へ残り12試合。悲願達成のゴールが、はっきりと見えた。【小松正明】

 [2009年9月27日8時24分

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