広島が、来季の監督として球団OBの野村謙二郎氏(43=野球評論家)に就任を要請する方針を固めたことが4日、明らかになった。ここまでクライマックスシリーズ(CS)進出を目指して戦ってきたが、4日の横浜戦(横浜)に敗れて望みは絶たれた。マーティー・ブラウン監督(46)は来季続投の条件だった「3位以内」を果たせず、指揮を執るのは今季限りとなった。球団側はシーズン終了後に野村氏に監督就任を要請するが受諾は確実とみられる。

 広島は通算2020安打を放った野村氏にチーム再建を託すことになった。今季は8年連続で負け越し、CS進出もならなかった。4年間指揮を執ってきたブラウン監督が今季限りで退任することが決まり、後任として浮上したのが野村氏だ。

 この日、野村氏は広島市内で取材に応じ「まだ終わったばかり。球団の方から話があれば考えたい」と多くを語らなかったが、その緻密(ちみつ)な野球理論は評価が高く、機動力を生かしたいチーム方針にも合致する。現役時代の95年に打率3割、30本塁打、30盗塁のトリプルスリーを達成。投手中心の「守りの野球」を掲げる一方で、球界屈指のリードオフマンとして鳴らした経験を生かした、機動力野球を展開するのは間違いない。広島は投打ともに、主力は20代の選手が多い。43歳の野村氏は年齢も近く、エネルギッシュな指導が可能となる。

 現役時代からリーダーシップには定評があった。不動のレギュラーになっても若い選手に積極的に助言するなど、熱血漢の一面もあわせ持つ。現役引退後、この4年間は評論家としてバックネット裏からカープの戦いぶりをチェック。チームの内情も把握している。また、米国にコーチ留学したほか、07年に日南春季キャンプで臨時コーチを務めるなど、指導者としての研修も重ねてきた。

 引退時には将来の「監督手形」が出されていた。昨オフも監督就任を打診されていたが、142試合目までCSを争うなど、ブラウン体制でチーム力が向上していた状況もあり、固辞していた。

 広島は97年に3位に入ったのを最後に、12年連続でBクラスに甘んじている。今季も5位に低迷。チームを抜本的に立て直すためにも、3年から5年の「長期政権」になる見通しだ。球団はシーズン終了後に監督就任を要請するが、今回は野村氏の受諾も確実視されている。

 [2009年10月5日7時48分

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