エース不在のピンチを、超重厚な中継ぎ陣で乗り切る。日本ハムが、楽天と対戦するクライマックスシリーズ(CS)第2ステージ(21日開幕、札幌ドーム)に、中継ぎ大量10人態勢で臨むことが18日、決まった。完投能力の高いダルビッシュ有投手(23)を欠いて臨むため、継投策を重視。ベンチ入り7人のほか、予備で3人を1軍へ追加招集。先発候補で兼務可能な多田野も含めれば最大11人の豪華ブルペンで、野村楽天の勢いを止める。

 大黒柱の穴を埋める、ウルトラCが固まった。この日、主力が参加していた宮崎でのフェニックスリーグでの実戦調整を終了。対戦相手が楽天に決定して一夜明け、梨田監督は中継ぎ陣を補充することを明かした。2軍から3年目の山本、ルーキー榊原の左右2枚の1軍帯同を決め、決戦の地・札幌へと連れて帰ることを決めた。

 ダルビッシュ不在の短期決戦。投手中心に守り勝つ野球の根本になる、投手陣のダメージを最小限にとどめるため、中継ぎ投手10人が1軍帯同することになった。梨田監督は「中継ぎは毎日、用意しておかないといかんからね。たぶん(登録は)7人になるとは思うが(8人に)する可能性もある」と方針を話した。

 初戦から1軍登録が確実なのは7人。守護神の武田久を軸に、建山、江尻の横手右腕2枚に、右本格派の菊地と金森、左腕の林、宮西になりそうだ。ほか当初はバックアップになりそうな坂元と榊原はロング救援可能なタイプで、山本は左のパワー投手。第6戦の先発の可能性がある多田野は、中継ぎとしてもみている。さまざまな状況に対応できる、陣容を整えた。

 ブルペン担当の厚沢投手コーチは「あらゆることを想定して決めた」と明かした。仮に勢いづく楽天打線の“ノムニーニョ”と呼ばれる集中攻撃に、継投策がのみ込まれた翌戦に、簡単に入れ替えでの立て直しが可能。急きょ抜てきされた山本はこの日の韓国・斗山戦で最速149キロをマーク。抜てきに「登録されるか分からないけれど、積み重ねてきたことと同じようにやる」と意欲を見せた。

 完投能力が決して高いとはいえない先発陣だけに、カギを握るのが継投策。また余剰人員を置くことで随時、メンバー変更でき、楽天が混乱するという副産物にも期待できる。梨田監督は「先取点をあげないようにすることが大事」と、先行逃げ切りを必勝条件に設定した。エースを欠く苦しい事態を打開する光が、少し見えた。【高山通史】

 [2009年10月19日10時9分

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