<パCS第2ステージ:日本ハム9-8楽天>◇第1戦◇21日◇札幌ドーム

 日本シリーズ進出をかけ、セ、パでクライマックスシリーズ(CS)第2ステージ(6回戦)が21日、開幕した。2位楽天がリーグ優勝の日本ハムに、悲劇的な逆転サヨナラ負けを喫した。4点リードの9回、福盛和男投手(33)が1点を失い、なおも1死満塁からスレッジにまさかの逆転満塁弾を浴びた。最大5点のリードを守れず、終盤2イニングで8失点。勝ちゲームを落とした野村克也監督(74)も「勝ち試合を落とすのはこたえるわ」とショックありあり。日本ハムに1勝のアドバンテージがあるため、いきなり2敗となった。

 まさかの満塁弾。まさかの逆転サヨナラ負け。野村楽天のポストシーズンは、負けっぷりも空前絶後だ。4点リードの9回。守護神福盛がマウンドに立った。3連打を浴び1点を失う。さらに四球で1死満塁。スレッジの2球目、外寄り低め直球は、左翼席最前列に吸い込まれた。

 敗れた野村監督は、ぼうぜん自失のまま、テレビカメラの前に現れた。「お見事だね」とつぶやくと、ボヤキどころか言葉が出ない。しばしの沈黙の後、小声で話し出した。

 野村監督

 選手はいい経験をしている。(敗戦は)チームの実力。どうしようもない。打つ手は全部、打った。それで負けたのは、相手の力が上だった。この1敗は絶対的に不利だ。今日勝って五分だった。今日の敗戦は大変な不利ですよ。この試合、何としても取らないと話にならない、ますます苦しくなる。明日以降、向こうは楽になる。

 あとアウト2つで、先勝だった。日本ハムに1勝のアドバンテージがあるだけに、是が非でも勝ちたい初戦だった。今季5敗の天敵武田勝を7回途中KOした。9回の鉄平2ランはダメ押しになるはずだった。理想的な勝利のはずが、大どんでん返しが待っていた。

 9回5失点の伏線は8回の3失点にあった。先発永井が8回1死一、三塁と走者を残して降板する。第4戦先発が予想される藤原が2番手で投入されたが、安打を浴びた。3番手以降は、中継ぎ本職を起用。小山、有銘、川岸と「1人1殺戦法」に切り替えたが、小山、有銘の暴投で流れは一気に日本ハムに移った。

 さらに言えば、CS第1ステージ突破後、18日から3日間に伏線があった。第1ステージで、野村監督は岩隈、田中、永井の3本柱で勝ち進むことにこだわった。岩隈-田中-永井の継投も示唆し、ベンチ入りさせた。一方で、中継ぎ陣はレギュラーシーズン最後の11日以降、登板間隔が空いていた。野村監督は「うっかりしていた。シート打撃で、普通は投げさせるんだけど。試合形式のヤツ。普通はやるんだ。うっかりしていた」と、実戦感覚の不安を埋める練習を忘れていたと反省した。佐藤投手コーチは「ブルペンでしっかり調整するように言っていた」と、言い訳にならないと話すが、懸案が終盤の8失点に表れた。

 打の準備はバッチリだった。野村監督は試合前の野手ミーティングに4年間で初めて参加。シダックス時代の教え子でもある武田勝の攻略法を説いた。「右打者はチェンジアップをマークして内をさばけ。体が突っ込んではダメだ。左打者は落合型。外角のスライダーをマークし、内はヘッドをかえさずに根っこで打つんだ」と、指導すると、草野、中島、武田勝を苦手としていたリンデンも、教え通りの安打を放つ。打倒武田勝を果たした殊勲は、終盤の投壊で吹き飛んでしまった。

 ポストシーズン史上初の逆転サヨナラ満塁弾。衝撃的な「逆ノムニーニョ」な敗戦に、野村監督は「勝ちゲームを落とすのはこたえるな」と声を絞り出す。ダメージの大きさを両肩にどっしりと感じた落胆ぶりだった。【金子航】

 [2009年10月22日8時35分

 紙面から]ソーシャルブックマーク