村上頌樹は完封したかっただろうがチームとしては快勝である。エースが9回途中1失点、4番に戻った主砲・佐藤輝明に大きな1発も出た。高寺望夢の成長も頼もしい。今季は成績が出ていないとは言え、好投手である森下暢仁から、その高寺を起点に2点を先制した1回の攻撃もよかった。

そんな試合で「おっ」と思ったのは6回表だ。先発投手が好投し、チームがリードしているときの6回表は1つのポイントである。5回終了時に一度、グラウンド整備の時間が空く。人工芝の球場はそれほどでもないが甲子園の場合はしっかりと時間をとる。

それだけにエアポケットのような感じで、この6回に先発投手の様子が変わる場面も見るのだ。それもあって6回の攻撃を見ていたときに「おっ」と思ったのである。それはカープ先発・森下の代打に出た林晃汰の打球を遊撃・小幡竜平が処理した場面だ。

左打者である林の打球はセンター方向、二塁左に飛ぶ。一瞬、抜けるかと思ったがあらかじめ、二塁ベース寄りに守っていた小幡があっさりと捕球。なんなく一塁に刺したのである。

智弁和歌山から18年のドラフト3位で広島に入団した林は主力級だったシーズンもあったが、現在はかつての輝きは放っていない。今季はまだ無安打だ。だからということはないけれど、途中で出てくる選手にもきっちりシフトを敷くんだな、と思ったのである。

「それはもう。ベンチに入っている選手については全員ね。コーチから指示を出してもらっています。あの打球は普通の守備位置だったら、全然、とれていないですね」。小幡もそんな話をした。

プロだから当然…と言えばそれまでだがコーチはもちろん、スコアラーらスタッフの部分までしっかりしているからそういう動きができるのだろう。試合中のベンチを見ていると筒井壮、田中秀太と外野守備、内野守備と走塁を兼任するコーチが指示を出している場面も見ることができる。

今季、勝っても負けてもロースコアが目立つこのカード、この日の結果も3-1だった。下位に低迷しているが広島は防御率もいいし、失策も少ない。だからこそきっちりしたプレーをすることが重要になる。その意味で9回に登板した2番手・ドリスがあっさり盗塁を許したのは少々ヒヤッとしたけれど、とりあえず阪神は勝った。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)