前マリナーズ城島健司捕手(33)の獲得から一夜明けた28日、阪神にジョー余波が吹いた。強力なライバルを迎え入れた狩野恵輔捕手(26)は、城島への挑戦に専念し、当面は外野転向といった雑念を捨てる決意を固めた。故障で出遅れた矢野に代わり、今季127試合に出場した「正妻」は、課題のスローイング特訓に励み、実りの秋にする。メンバーはこの日、29日開始の秋季安芸キャンプのために高知入りした。

 淡々とした表情の狩野だったが、眼光だけは鋭く光っていた。城島という新たな壁は巨大でも、捕手としてのレベルアップを期すしかない-自分磨きを誓って安芸へ向かった。この日、真弓監督が「(城島と)勝負すればいい。この世界は競争だから」と発言。狩野には外野転向案もつきまとうが「本人がどう考えるかだ」とし、あくまでも捕手として発奮を促された。

 チームにとっては狩野の打力と、10盗塁をマークした走力は貴重な戦力。狩野からすれば、城島が相手であっても、武器をより強力にするしかない。「キャンプではそのへん(打力、走力)も踏まえて(練習)したい」。課題のスローイング特訓にも取り組むが、まずは長所伸ばしプランを語った。

 外野転向案には「いろいろ可能性があるなら(外野練習も)…。(打力、走力を評価されての案なら)前向きに考えたい」と受け流した。城島挑戦権を得るべく、捕手としての牙を研ぐことが最優先事項だ。

 今春キャンプでは投手への返球もそれるほど、スローイングに苦しんだ。吉田バッテリーコーチらと練習を積み、確実に上達。右ひじ手術で矢野が出遅れたこともあり、開幕からスタメンマスクをかぶり、出場127試合のうち115試合に先発出場した。

 堅実に歩を進めて「正妻」となった矢先だ。吉田バッテリーコーチは「どんどん強敵が現れるのがプロの世界。少ないチャンスをものにしてほしい」と語り、安芸では捕手狩野を鍛え抜く意向だ。木戸ヘッドコーチも「簡単に(外野転向は)許さんやろ。そんなん他の外野手が怒るよ」と、あくまでも捕手としての成長を願っていた。

 [2009年10月29日11時37分

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