中日森野将彦内野手(31)が、今季限りで引退した立浪和義氏(40)の背番号「3」を継承することが5日、発表された。名古屋市内で行われたオーナー報告の後、白井文吾オーナー(81=中日新聞社会長)が自ら明かした。永久欠番化も検討された背番号の処遇は、球団の総帥が後継者を発表するという異例の形で決着した。

 落合監督との約3時間の話し合いを終えた後、白井オーナーは自ら立浪の背番号について口を開いた。「球団としては永久欠番にしないということを決めた。そして話し合った結果、森野がつけることに決まった」。球団オーナーが選手の背番号を発表するという異例の決着。球団にとってはそれほど重大事項だった。

 中日ひと筋で22年間プレーし、今季限りで引退した立浪氏の背番号「3」はシーズン中から2つの団体が署名運動を行うなどファンの間で永久欠番化を望む声が上がった。

 これを受けて球団は役員会に諮ったが、10番(服部受弘)、15番(西沢道夫)の2例以来、永久欠番を出さない方針を貫いている球団内では、「永久欠番にするより栄誉番号として選手の励みにし、将来チームを担う選手に継承させた方がいい」(西川球団社長)との意見が多数だったため見送った。その後、西川球団社長、西脇球団代表、井手編成担当ら球団フロントが相談して、後継者を森野に決めたという。

 ミスター・ドラゴンズの後継者に指名された森野は、広報を通じて神妙なコメントを発表した。「ドラゴンズの顔の3という背番号をつけることは光栄ですが、野球を頑張ることが1番だと思うので、これから精いっぱい頑張っていきたい」。今季は3番打者として144試合に出場し、打率2割8分9厘、23本塁打、109打点。打点王こそ1打点差で同僚ブランコに譲ったが、勝負強い打撃でチームのCS進出へ貢献した。来季は選手会長にも就任することが濃厚で、名実ともにチームの顔になる。

 「署名をしていただいたことには大変、感謝しています」。最後に西脇球団代表は長年、立浪氏を応援してくれたファンに感謝した。背中でチームを引っ張り続けた同氏の魂は背番号とともに森野に受け継がれていく。【鈴木忠平】

 [2009年11月6日11時42分

 紙面から]ソーシャルブックマーク