虎の名トレーナーが去る。阪神杉田由嗣トレーナー(62)が来年2月いっぱいで退団することが30日、分かった。今後については未定。2月の春季キャンプ帯同も流動的で「球団と相談します」と話した。

 70年に入団して以来、阪神ひと筋。江夏、掛布に岡田、真弓と歴代の名選手の体をケアし、「モミの杉田」の異名を取るなど名物トレーナーとして知られた。現役選手でも金本らから厚い信頼を受け、昨季4月に金本が通算2000本安打を放った際には、お手製のマッサージ券をプレゼントしたこともある。40年間に渡り裏方としてチームを支え続けたが、高齢を迎えたこともあり、後進に道を譲る決意を固めた。

 今でも忘れられないのは79年。江川との交換トレードで巨人から移籍してきた小林繁(10年・日本ハム1軍投手コーチ)の体をほぼ1年間マッサージし続けたことだ。その年、小林は自己最高記録の22勝をマーク。「初めて見た時は(疲労を抱えていた)ひじが真っすぐ伸びない状態。シーズンに入ってからも、休みの時も移動日も触り続けた」。22勝目のウイニングボールをプレゼントされたことは良い思い出だ。

 今季は主に鳴尾浜で故障者、若手選手をケア。一方で金本や新井などの状態にも気を配り続けるなど、チームに欠かせない存在だった。虎の低迷期から黄金期まですべてを知り尽くすベテラントレーナーが、輝かしい経歴に区切りをつける。

 [2009年12月31日10時55分

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