暴れろ、ジョー!

 阪神に新加入する城島健司捕手(33)が、高校時代の恩師からエールを送られた。大分・別府大付(現明豊)野球部の糸永俊一郎元監督(65)が11日、日刊スポーツの取材に応じ、5年ぶりの日本復帰に向けて「城島本来のバイタリティー、荒々しさを発揮してほしい」と期待した。高校で物おじしない「城島スタイル」の形成に大きな影響を与えた恩人が、教え子に新天地で活躍するための心構えを説いた。

 城島の恩師が、金言を送った。城島が寮生活を送った大分・別府大付野球部元監督の糸永氏が、かつての教え子にゲキを飛ばした。

 糸永氏

 城島本来のエネルギー、バイタリティーを阪神でも出してほしい。気持ちの強さというかね。33歳でまだまだ落ち着くような年じゃないし、グラウンドで荒々しさというのを発揮してほしい。

 高校入学当時を「プロになりたい気持ちが強かった」と振り返る糸永氏は、物おじしない「城島スタイル」の形成に大きく影響を与えた人物だ。「10年、100年に1人の選手」と見定めて高校1年生から4番に抜てき。みっちり指導してプロに送り出した。

 時には衝突もいとわない真っすぐな姿勢を期待している。糸永氏は「衝突というものはないに越したことはない。だが衝突しても構わないと思う。それを乗り越えてほしいし、これまでいろんな人間を自分のペースに巻き込んできた」と言う。ダイエーで高卒3年目に正捕手、日本人捕手初のメジャーリーガーとして海も渡った。道を切り開いた城島の強さを信頼する。

 「城島スタイル」の原型は、高校時代に培われている。ルーキーの時にいきなりチーム宿舎で王監督やベテラン工藤の部屋をノックした話は有名だが、それには糸永氏の教えがあった。

 糸永氏は、高校1年の城島を社会人強豪チームの合宿に1週間、参加させたことがある。グラウンドでは捕手に密着させて、さらに指令を出した。「夜になったら部屋をノックしろ。何でもいいから話を聞いて眠らせるな。ドアが開かなかったら開けるまでノックし続けろ」。城島は教えを守って1週間後、束になった手書きのリポート用紙を持って帰ってきたという。糸永氏は「10歳以上も離れた社会人を相手に16歳の子がやりきった」と振り返る。真っ正面から物事にぶつかる姿勢こそが城島の強さだ。

 「リードはピッチャーとの信頼が大事だけど、バットを持った時は激しさを出してほしい」。恩師は、グラウンドで縦横無尽に暴れ回る城島の姿を求めている。

 [2010年1月12日11時22分

 紙面から]ソーシャルブックマーク