独壇場だった。阪神育成ドラフト1位の高田周平投手(24=BCリーグ信濃)が14日、新人合同自主トレ第1クール2日目で圧巻の持久力を見せた。午前中最後のメニューは20分間走。1周300メートルに設定されたコースを1人ずつ間隔を開けてスタートした。互いに周りのペースを気にして一塊になって走る中、1人飛び出したのが高田だった。

 7周目で後続に1周差を付けようとしていたが、10分経過したところで逆走を命じられた。普段はポーカーフェースの高田が悔しさをにじませた。「ちょっと気持ちがなえそうになりました。1人ぐらいは(周回遅れの差に)いけると思っていたので」。それでも伊藤トレーニングコーチが「普通にやれば2周ぐらい差がついていた」と語るほどの独走ぶりだった。

 大学時代はリーグ戦での登板もなく、最速130キロの並みの投手だった。「大学時代は周りに合わせすぎた」と反省し、ここからどんな時でもマイペースを貫く「オレ流」精神が芽生えた。それが功を奏し、BCリーグ時代に一気に才能が開花。わずか2年間で球速は142キロまで伸び、先発に抑えとフル稼働した。この日も周囲に流されない淡々とした力走で、強い精神力、強靱的なスタミナと、さらなる伸びしろの大きさを感じさせた。

 2位にはこちらも育成ドラフト2位の田上健一外野手(22=創価大)が入った。2学年差のある2人は創価大時代チームメートだった。高田が3年、田上が1年時の山口キャンプ最終日に行われた10キロ走でも、30人の部員で高田が1位で田上が3位だったという。入団で一歩先を許した支配下登録組に負けない。育成の星がきっちりその意地をかいま見せた。

 [2010年1月15日11時45分

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