瞑想修行で優勝-。阪神新井貴浩内野手(32)が、スランプ撲滅の秘技を伝授された。15日、鹿児島市内の最福寺で6年連続となる護摩行(ごまぎょう)を行った。修行の師・池口恵観法主(73)からは、金本も伝授されたという精神統一するための瞑想(めいそう)法を初めて教えられた。好不調の波をなくすために、新井は日課として取り入れることを決意。移籍3年目のキーマンが高いパフォーマンスを持続して、優勝を引き寄せる。

 高さ2メートル以上の激しい炎に立ち向かった。火まで約50センチの距離に近づけた新井の顔は、まぶた、口元、そして首が水膨れなどで赤く染まった。300度以上の炎に激しくゆさぶられた。それでも約1時間半もお経を唱え続けた。

 心身ともに疲れ果てた荒行の直後に、新たな指令が待っていた。新井は、池口法主から約15分、瞑想法を初めて教えられた。いすに座って目を閉じる。精神を落ち着かせて、集中する。揺れない心をはぐくむための秘技を伝えられた。

 新井

 瞑想は集中力を高める。今年から取り入れていくという話でした。精神を統一する練習をしていきなさいと。しっかり教えてもらって継続してできるようにしたい。

 精神面の強化を期待された。池口法主は「今年は違うことをさせた。護摩行で精神力はつくけど、力を発揮できる方法を教えておかないと。肉体は鍛えているけど、それをいかに出せるか。打席でも気を出せるように」と説明した。同じ瞑想法は以前に金本に伝授しており「最初はよかった」と金本の09年春先の大爆発を引き合いに出した。そして新井にも肉体と精神の両立を求めた。

 新井は昨季、好不調の激しい波にさらされた。開幕からの打撃不振を引きずった。今オフには「好不調の波が少ないのがいい選手。大きな波をつくってはいけない」と反省を口にしている。

 スランプを撲滅するために、瞑想法を活用する。新井は「ルーティンとして入れていければいい。精神統一してパシッと切り替える。スイッチをオンにするとか、メリハリをつける意味でしようと思う」。さすがに試合中は無理だが、家を出る前や試合直前などに行う。チームの浮沈を握るキーマンだけに、長い不振は避ける必要がある。

 修行初日のこの日は昨年と同じ護摩木3000枚が用意され、「しんどかった」と言った。今後は4日間で7度の護摩行と平行して瞑想を学ぶ。池口法主からは「今年こそ3冠王をとってもらいたい」と期待された。移籍3年目の新井は「同じ釜の飯を食ってメンバーとの結びつきは強くなっている。金本さんと優勝したいのもあるけど、今のチームメートで優勝したい」。心を鍛えて、悲願の目標を達成する。

 [2010年1月16日11時2分

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