楽天の新人合同自主トレが15日、3日間の第1クールを終えた。ドラフト4位入団の高堀和也投手(22=三菱自動車岡崎)は、3日目にして「本格始動」。9日に風邪をこじらせ、初日のシャトルラン、2日目の午後の練習を回避していたが、この日は全メニューに参加。ノックでは、鋭い動きで全快をアピールした。

 風邪の影響をまったく感じさせない。ノックで左右に振られても、高堀は素早く反応。長い手足を生かして打球に食らい付く。捕球しても、捕れなくても「よっしゃ~!」の雄たけびで喜びを表現した。「ずっと走ってばかりだったので、ボールを握れてうれしかった」。少年のような笑顔で、練習を楽しんだ。

 高校時代に背番号「1」を背負ったことがない。社会人1、2年目は登板機会すらなく腐りかけていた。そんな高堀に先輩が「3年でダメならクビだぞ。悔しくないのか」と一喝。これで目が覚めたのか、努力もしないで嘆く自分から、食生活やランニングまで考えて行動するようになった。「あの一言が大きかった」と高堀。昨年8月の都市対抗で東京ドームのマウンドに立つほど、心身ともに成長した。

 活躍を見せたい人がいる。女手ひとつで育ててくれた母美智子さん(53)だ。いつも、何も言わなくても野球道具をそろえてくれるなど、何ひとつ不自由を感じたことはなかった。東京ドームにも、富山から駆けつけてくれた。「苦労かけっぱなし。自分の力で1軍で投げる姿を見せたい」。高堀の目はしっかりとKスタのマウンドを見つめていた。【湯浅知彦】

 [2010年1月16日11時44分

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