赤星氏の引退で激しさを増す外野競争に、阪神真弓明信監督(56)が期待の1ピースを加えた。現役時代と同じ背番号7、ドラフト5位の新人藤川俊介外野手(22=近大)の追加招集を決断した。ポスト赤星の筆頭候補はマット・マートン外野手(28=ロッキーズ)だが、日本での実力は未知数。周囲の発奮を促すカンフル剤としてでなく、本気で1番打者を奪える存在として、同じ土俵で競わせる。

 「もう1人をだれにするかを絞り込んでたので、発表がこの時期になった。無理をしてはいけないけど、若い力で外野争いを活発にしてレギュラーを奪うつもりで頑張ってほしい」

 21日に発表された1軍キャンプメンバーにその名はなかったが、指揮官が追加合格させた決め手は、自ら2度鳴尾浜を直接視察して確認した俊足、巧打、好守の潜在能力。同じ追試組の新人で、同3位の甲斐雄平外野手(21=福岡大)が左太もも裏を痛めて脱落する中、地道なアピールがラスト1枠を決断させた。

 「広い甲子園で外野守備はとても重要。俊足で守備範囲も広いし、足をからめた攻撃をする上で貴重な戦力になってくれると思う」。昨年12月の入団会見時に送った言葉通り「1番中堅」を任せられるポスト赤星候補との期待は大きい。1番手は同じ俊足巧打のマートン。05年にカブスで22二塁打、昨年は3Aで打率3割2分4厘、12本塁打、79打点の成績を残しているが、日本順応の問題が残る。昨年のメンチ、一昨年のフォードのように当てが外れれば一大事。だからこそメジャーリーガーに若き力を競わせる。

 岡野手チーフコーチも藤川俊を「ワンヒットで2つの塁を狙う、真弓監督の走塁革命を実現する可能性をもった男」と高評価している。ポジションは中堅にとどまらず、桜井や林、浅井ら他の外野陣との競争にも殴り込みをかける。チャンスをつかんで奪い取れ!

 宜野座への招待状は、真弓流のメッセージでもある。

 [2010年1月27日11時59分

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