阪神の新外国人マット・マートン外野手(28=ロッキーズ)が28日、関西空港着の航空機で来日した。ポスト赤星の1番手と期待される右の俊足巧打者は、カブスで同僚だった福留孝介外野手(32)の「日本で成功するには準備が大切」との助言を胸に、いきなり日本語であいさつ。狙うはトラの助っ人史上、バース、オマリーに次ぐ3人目の首位打者で、マートンが獲得すれば右打者としては初の快挙だ。優勝請負人として1番中堅で大暴れする。2年目クレイグ・ブラゼル内野手(29)も同便で来日した。

 会見のひな壇に上がったマートンの来日第一声は、日本語だった。「日本の皆さん、初めまして。マット・マートンです。今ここに来れて、ホンマにうれしいです」。片言とはいえ、関西弁の「ホンマ」も交える即妙で、力強く言い切った。見守った球団関係者も「記憶にない」という阪神助っ人では異例の日本語による自己紹介。それは初めて訪れた異国日本、関西の地で一旗揚げるための、マートン流決意表明だった。

 「来る前から日本語を練習してたよ。米国に来た日本の選手には、いつも一生懸命やってる姿があった。だから僕も、日本でやってやろう!

 という気持ちを見せたかったんだ」

 それはポスト赤星の1番手と期待される男の頼もしい心意気だった。カブス時代の06年には、4二塁打の1試合最多二塁打記録を樹立するなど、俊足巧打が売りで、昨年もロ軍傘下3Aの97試合で打率3割2分4厘、12本塁打、79打点をマーク。29試合連続試合安打も記録するなど、広角でシュアな打撃が身上だ。広い守備範囲も魅力で、真弓監督が「1番中堅」構想を抱く右のアベレージヒッターは、役割まっとうに気合十分だ。

 「自分では日本でもやっていけると考えている。仕事は打つだけではない。それ以外(守備走塁)もやっていきたい。心の中では(数字的目標など)ゴールを設定してるよ。とにかくチームが勝つために貢献したい」

 数字的目標は公言しなかった。だが狙うは虎の助っ人史上、バース、オマリーに次ぐ3人目の首位打者だ。マートンが獲得すれば右打者としては初めて。「確実性のある打撃スタイルは日本向きだ」。獲得の推薦人はかつて阪神の3番で活躍した、アンディ・シーツ駐米スカウト。日本野球を熟知して実績を残した同スカウトの言葉だけに、首位打者獲得も夢の話ではない。

 成功への助言をくれたのは、同便で来日したブラゼルや、ロッテでプレーしたレオン・リーを父に持つデレク・リー。そしてカブスで同僚だった福留だ。「とにかく準備をしっかりしとくように言われた。WBCでも2回連続世界一になった日本はすごく野球に情熱的だと。私もそうなりたいし、適応したい。ベーブルースもプレーした甲子園で試合ができるのは本当に楽しみだ」。

 身も心も日本に染まることが成功への近道。阪神の応援風景はインターネットなどで確認済み。赤毛の優勝請負人は力強く大暴れを誓った。

 [2010年1月29日11時29分

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