ドラゴンザレスだ!

 中日の新外国人エドワード・バルデス投手(29=元ロッキーズ3A)が2日、打撃投手を務め、持ち前の制球力の良さを見せつけた。谷、大島を相手にカットボールで凡打の山を築き、偵察に訪れた巨人の007も「ゴンザレスみたい」と早くも警戒を強めた。年俸15万ドル(約1350万円)の格安助っ人が、ひしめく先発ローテーション入りに向け、大きな1歩を踏み出した。

 ドミニカ共和国のウインターリーグで1月まで快投を続けてきた右腕が、ついにベールを脱いだ。打撃投手としてマウンドに上がったバルデスが、母国のような温かな日差しを受け、軽快に腕を振る。この日の最速は、打撃投手を務めた8人の投手の中で最速の144キロ。ナチュラルカットする直球を武器に谷、新人の大島洋平(24=日本生命)が振るバットの芯を次々と外し、見守っていた首脳陣の視線をくぎ付けにした。

 「思ったよりも感触はよかった。今日はストライクゾーンに投げることを意識して、80%くらいの力で投げたよ」。投じた44球中、許した安打性の当たりはわずか8本。被打率に換算すると1割8分2厘という高精度だ。「左打者の内角に投げる時は自然にカットするし、意識して投げればもっと食い込むと思う。試合ではゴロを打たせるときに投げている」という決め球のカットボールで、早々と存在感を見せつけた。

 武器はそれだけではない。投げる時にボールを持つ右手が左肩で隠れるため、打者にとってはタイミングがつかみにくいのも大きなポイント。クロスステップするフォームも特徴で、ボールを受けた小田も「コントロールがいいし、とにかく出どころが見にくい。バッターは怖いんじゃないかな。とにかく良かった」と手放しで絶賛した。

 3年前から目をつけていたバルデスの快投に、森ヘッドコーチは「四球でつぶれるようなやつじゃない。新人と同じくらいの安い金で活躍してくれたらもうけもんだ」と、大化けに期待。視察に訪れていた巨人の樽見スコアラーは「クロスステップするし、球の見にくさがうちのゴンザレスみたい」と警戒。「あとは変化球でどんなボールが投げられるのか。思った以上にコントロールがいいし、実戦になったら球ももっと速くなりそう」と、早くも要注意リストに加えた。

 バルデスがこの日投げたのは直球のみだったが、スライダーなどの変化球も実戦で通用すれば、昨年15勝を挙げた巨人ゴンザレスのように相手チームに嫌がられる存在になる可能性も十分ありそう。昨季の2冠王ブランコのようにジャパニーズドリームを実現させれば、V奪回はグッと近づく。【福岡吉央】

 [2010年2月3日11時9分

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