巨人のドラフト1位ルーキー長野久義外野手(25=ホンダ)が21日、ミスターの称賛を受けた。巨人長嶋茂雄終身名誉監督(74)、ソフトバンク王貞治球団会長(69)のONが視察したソフトバンクとの練習試合(サンマリンスタジアム)で、長野は実戦5試合連続安打となる左前打を放った。ここまで出場した実戦5試合で21打数9安打、打率4割2分9厘と好調をキープ。不慣れな左翼でも好守も見せ、長嶋氏が高い素質を認めた。

 アマチュア時代に大舞台を踏んできた長野が、いつになく緊張していた。打撃練習を終えると、ダッシュであの人の元へ向かった。長嶋氏との初対面。ケージ裏で原監督と試合前のフリー打撃を見守っていた大先輩に、あいさつした。

 長嶋氏

 体が強そうだな。

 ミスターに新人離れした体つきを褒められた。「へへへッ!」と左手で胸を触られた。陽気な笑い声をかけられ、握手もした。長嶋氏が打撃フォームのしぐさを見せ、原監督も交えた打撃論にも及んだ。長野は「緊張しすぎちゃって(何を話したか)覚えてないです」。わずか2分でも、特別な時間だった。「オーラのある方だなと思いました」と、圧倒的な存在感に刺激を受けた。

 ソフトバンクとの練習試合で、さらにミスターの視線をつかんだ。5回、藤岡の140キロを左前打。コンパクトに振り抜き、三遊間を破った。ここまで実戦5試合連続安打はチーム唯一。20日に続き2試合目の左翼守備でも魅せた。初回1死三塁で松田のフェンス直撃の打球のクッションボールを緩慢なく処理し、二塁を狙った松田を正確なワンバウンド送球で刺した。

 長嶋氏は長野のプレーの印象について、「社会人で国際大会を経験しているだけあって、プロで2、3年プレーしているような雰囲気がありました。守備でも打撃でも試合の中でアジャストする能力が高いという印象でした」と絶賛した。もっとも、長野に慢心はなく「安打は昨日も三遊間。もう少し反対方向にも打てれば。打ち損じも多い。左翼守備もいい練習。教えてもらっていることをしっかりやりたい」と真顔で話した。キャンプ終盤、認められた素質をさらに磨く。【古川真弥】

 [2010年2月22日9時4分

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