<巨人4-3西武>◇27日◇鹿児島

 巨人のドラフト1位ルーキーが鮮やかなオープン戦デビューを飾った。長野久義外野手(25=ホンダ)が今季オープン戦初戦となった西武戦(鹿児島)に「3番中堅」でスタメン出場し、初打席でいきなり左前適時打を放つなど2安打1打点と活躍した。今キャンプの練習試合を含め実戦7試合すべてで安打を放ち、29打数13安打、打率4割4分8厘と当たりまくっている。目標の開幕スタメンへ、バットが止まらない。

 アウトローに落ちる球に、しっかり踏み込んだ。初回1死三塁、カウント1-0。長野は西武野上のスライダーをとらえた。遊撃中島が瞬間、体をピクリとさせたが、足を動かされる前に打球は三遊間を抜けた。左前先制打。オープン戦デビュー打席を、わずか2球で鮮やかに締めた。

 速攻は意図したものだった。「ランナーをかえしたい気持ちでした。追い込まれると苦しくなるから、早いカウントからいきたいなと」と説明した。逆に、第2打席はフルカウントから。同点とされた直後の3回、1死走者なしで6球目を初めて振り遊撃内野安打。追い込まれながら、しぶとく出塁した。亀井の右前打で勝ち越しの2点目を踏んだ。かえす場面。出る場面。状況に応じ、貢献した。

 しかし、試合後は淡々と話した。4回の第3打席に悔いが残った。2死一、二塁で2番手山岸に3球三振。最後はアウトロー直球を見逃し、顔をゆがめた。「手が出なかった?

 そうじゃない。自分の中にいろいろあった。チャンスだったんで一番やってはいけないこと」と反省した。

 そんな謙虚な心が、結果につながっている。その姿勢は“相棒探し”にも向かった。社会人時代から先端をくりぬいたタイプのバットを使っているが、キャンプインにあわせくりぬいていないものを注文。ヘッドが重い分、一般的には飛距離が出るとされる。実戦では未使用だが「いろいろ試しています」とフリー打撃で試してきた。プロで見合う得物は何か。謙虚に己を見詰め、打力向上に努めている。

 この日はプロ入り後、初めて中堅に就いた。原監督は「チームにとって一番いい方法をさがしていく」と話す。慣れた右翼とは違うが、中堅も守れば用兵の選択肢が増える。長野は1度の守備機会をこなし「練習します」。攻守とも、向上心を再確認したオープン戦デビューだった。【古川真弥】

 [2010年2月28日10時0分

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