<日本ハム1-4阪神>◇4日◇札幌ドーム

 出た、バズーカ肩!

 阪神新加入の城島健司捕手(33)が日本ハムとのオープン戦で、メジャーでも恐れられた強肩で初めて盗塁を刺した。初回、一塁から好スタートを切った稲葉を、迫力満点のスローイングで二塁タッチアウト。先発久保の立ち上がりをもり立てたと思えば、打っても4回、右翼線に同点のタイムリー二塁打。攻守で快勝を演出し、もう、いつ開幕しても大丈夫や~。

 強くて、速くて、うまい。城島の強肩バズーカが発射された。1点を先制された直後の初回1死一塁、カウント2―2からの6球目、エンドランで一塁走者稲葉がスタート。打者小谷野はフォークで空振り三振。城島は、大きくバランスを崩した打者に目もくれず捕球と同時に素早くスロー。到達時に走者がベースの約3メートル手前にいる肩の強さ。二塁手関本が捕球したグラブを動かさずにタッチできる制球抜群の高い技術。一気に3アウトに変わった。

 城島

 内角をにおわせて、フォークで勝負。久保が(クイック投法で)僕の弱い肩をカバーしてくれた。これに尽きるでしょう。

 本人は笑うが、投手にとっては心強い限りだ。ジョーは4回1死一塁ではカウント1―2でマウンド上の久保に駆け寄った。「オレにも仕事をさせろ。ゆっくり投げなさいよ」と緊張をほぐした。久保のクイックは定評があるが、城島は走者を気にしすぎて軸足への体重移動が十分でないと判断していた。投手がリズムを崩す可能性を察知して声をかける。しかも強肩で走者を刺すとなれば、投手も大船に乗った気分になる。

 スラッガーとしても存在感は大きい。4回無死二塁の2打席目で右翼線への同点適時二塁打。移籍初めてのタイムリー&長打も同時に記録。外角スライダーを逆らわずに右方向にはじき返した。自身を「プロヒッター」と表現するが、カウント2―1と追い込まれて柔軟な打撃。「狙ったわけじゃない。内角を頭に入れつつ、たまたま外に変化球がきた」と言ったが、技ありの一打。ジョーの同点打で火が付いた打線はこの回4安打3点で逆転した。

 5年ぶりの日本球界で日米の違いを実感している。「メジャーにはほとんど人工芝のスタジアムはない。下が硬いからボールの跳ね方が違う」。マリナーズ所属だった09年は米国30球団で人工芝はわずか3球場。だが5年ぶりの日本球界はセ・パ12球団で天然芝は阪神と広島のみ。さらにホームベース周辺の土の質も違うという。「粘着質で柔らかいから(打席が)すぐに掘れる。そこでボールが跳ねてそらしたら、投手に申し訳ない。プロとして自分の恥」。足で念入りに荒れた打席を慣らす姿がある。

 日本ハム2連戦で攻守にわたって別格の存在感を発揮した。投手陣を支える女房役と、スラッガーとしての役割。スーパーキャッチャー城島が、3・26の開幕に向けてテンションを上げてきた。【益田一弘】

 [2010年3月5日11時10分

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