西武のドラフト1位ルーキー菊池雄星投手(18=花巻東)が6日、岩手・花巻市の花巻東高で卒業式に出席し、3年間の高校生活に別れを告げた。式後の野球部後輩によるセレモニーでは、詰め掛けた約500人の一般市民が押し寄せ、校舎に避難する一幕も。高い期待とは裏腹に、雄星は2軍調整中とプロの壁にぶち当たっているが、同校の佐々木洋監督(34)から力強い言葉で背中を押された。

 他の部員が激励の言葉を送られた中、プロの世界に飛び込んだ雄星だけは手紙を渡された。そこには「1年目は打たれて失敗しろ」という内容のメッセージが書き込まれていた。鳴り物入りで入団も、今春キャンプでは調子が上がらず、悔しい2軍落ち。そんな教え子に、佐々木監督は「失敗から学べる子ですから。いい素材を持ってるんだから、(壁を)乗り越えて、日本一の投手になってほしい」と寛大な言葉でエールを送った。

 雄星は「壁は乗り越えられる者にしか与えられない」と正面から受け止めた。それでも、恩師の言葉に甘えてばかりはいられない。9日の教育リーグ巨人戦(西武ドーム)での先発登板に備え、この日は埼玉・所沢にとんぼ返り。「悔しさを持って練習すれば、いい報告に向かうと思う。高校生活で教わった、最後まであきらめない気持ちを忘れずにやっていきたい。結果を出して、1日も早く恩返ししたい」と意気込んだ。恩師の温かい言葉と、数々の逆境を乗り越えた青春時代の経験を胸に、巻き返しをはかる。【由本裕貴】

 [2010年3月7日9時20分

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