<日本ハム0-4ヤクルト>◇7日◇札幌ドーム

 ライバルに、また足止めを食らった。日本ハム中田翔内野手(20)が、目標のレギュラーどりへ失速した。7日、ヤクルトとのオープン戦に「7番DH」で先発出場。同期入団のヤクルト由規に2打席連続三振を喫し、精彩を欠いた。これで由規に今季実戦4打席連続三振。7回に2番手中沢から右中間二塁打を放ったが、完敗の内容に奮起し、残り6試合のオープン戦での再アピールを誓った。

 札幌ドームからの帰り際。タクシーのシートに体を預け、20歳の素直な本音が漏れた。中田が、ちょっとか弱い声で、撃沈した2打席を回想した。「力不足です。悔しいなぁ…」。由規に2打席とも三振と、完全に見下ろされた。7回には左腕・中沢の外角直球を逆らわず右中間二塁打。完封リレーを許した日本ハム打線の中で、唯一の長打を放っても、心は曇っていた。

 再々戦でも、うっぷんは晴れなかった。今季は由規とキャンプ中の2月21日の練習試合、2月28日のオープン戦に次いで3度目の対戦。ここまで1四球も無安打、2打席連続三振中で、この日のリベンジに燃えていた。2回の第1打席は4球連続直球勝負を挑まれ、最後は151キロに空振り三振。4回の第2打席は、外角いっぱいに決まるスライダーに手が出ず、見逃しで2個目の「K」を献上してしまった。

 現実と向き合い、中田は現状を自己分析した。「真っ向勝負をしてくれるのはうれしいし、気合が入るけれど、その中で2三振したのは力不足しかない」。今季の新戦力の見極めが佳境に突入しつつある中で、その渦中にいたが、屈した。打率3割8分1厘(21打数8安打)と好調はキープしているが、梨田監督は内容にやや不満の色を見せた。「三振した時の悔しさが出ていなかった。由規の時には使わないようにする」。ジョーク交じりだが、厳しくおきゅうを据えられた。

 オープン戦残り6試合。開幕1軍、レギュラーどりへ必死のアピールを継続中だが、ダルビッシュらに指摘された1軍クラス投手の直球への対応力の課題が、この日も顕著だった。「今は1軍に置いてもらっていることがありがたい。もっと頑張らないと」。中田は殊勝に、自分を戒めた。周囲の誰もが認める素質開花の予感は漂うが、試練の時は続く。また盟友から注入されたカンフル剤が、中田の成長促進剤になる。【高山通史】

 [2010年3月8日11時35分

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