阪神下柳剛投手(41)が、先発ローテ5番目のイスへ一発“快投”で滑り込んだ。9日の日本ハム戦(京セラドーム大阪)でオープン戦初先発。4回2失点ながら、90キロ台カーブで三振を奪うなど、巧みな投球術でアピール。ダイエー時代以来、実質15年ぶりとなる城島とのコンビでも「あうん」の呼吸を見せた。真弓明信監督(56)も開幕ローテ入りを明言。まだ、若いもんには負けられない!

 日本ハム先頭・田中のバットが空を切った。空振り三振。電光掲示板の球速表示は99キロだ。今季オープン戦初登板の下柳が、今キャンプ中に試投を重ねてきたスローカーブの威力をいきなり見せつけた。

 シーズン中には130キロ台を計時する直球は、ほとんどが120キロ台。それでも速く見せるテクニックがある。高橋に本塁打を浴びるなど2点を失ったが、予定の4回を43球で投げ終えた。「(内容は)全然ダメですけど、この時期、普通にゲームに投げられたんで、1歩は(今季へ)入っていけたと思います」。ぶっきらぼうながら、開幕への手ごたえを口にした。

 昨季は右ひざ手術の影響で、ほとんど実戦を踏めないまま開幕。終盤はローテを外され、8勝に終わった。一昨年まで4年続けてきた2ケタ勝利にも届かなかった。雪辱を期し、昨オフは下半身と心肺機能強化のため、競技用自転車で1万2000キロを走破。投球の幅を広げるため、今キャンプでは90キロ台のスローカーブの練習に励んだ。

 ダイエー時代にバッテリーを組んでいた城島とは、紅白戦、球宴を除けば、95年7月23日日本ハム戦(福岡ドーム)以来15年ぶりのコンビ。1度もサインに首を振らなかった。「城島の思いは分かった。城島と組んでも大丈夫かな、と。後は自分のこと(調整)やれればいける」。その女房役も、あえて得意球のスライダーを封印し、甘いシュートでゴロを打たせたと説明。「左打者へのシュートは相変わらずいい」と、好感触を語った。

 ベテランらしく、開幕までの課題も把握している。カーブについての質問は「まあ、勝負球じゃないんで」とさえぎり「体の上と下のタイミングが合ってないから、思ったように球がいってない。ブルペンではできても、どうしてもマウンドだと気持ちがはやるからね」と話した。

 久保投手コーチは「今年は体もキレているし(カーブで緩急差を広げ)いろいろやってるし」と、さらなる進化を予告。真弓監督も「この時期にしてはキレもまあまあ。城島ともリズムは合ってるかな。開幕ローテ?

 そうだね」と、5人目の座を確約した。昨季終盤に苦汁をなめた左腕が、雪辱のシーズンに踏み出した。

 [2010年3月10日11時8分

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