<広島6-7ソフトバンク>◇14日◇マツダスタジアム

 スーパー2番打者だ!

 ソフトバンク川崎宗則内野手(28)が「打点王&盗塁王」で、オープン戦全日程を終えた。広島戦の5回、適時三塁打を放つなど2打点の活躍。オープン戦全13試合でダントツの13打点をたたき出した。盗塁、二塁打、三塁打も同じくトップ。打って走って、ポイントゲッターになる超2番打者。万全の状態でシーズンを迎えるムネリンがシーズンでも、95年にイチロー(当時オリックス)しか記録していない「打点王&盗塁王」の同時獲得の偉業を狙う。

 「ニュームネリン」が、準備完了だ。5回1死一、二塁。川崎の進化を示す場面が、第3打席で巡ってきた。広島前田健の初球、高めに浮いた124キロスライダーを逃さなかった。完ぺきにとらえた鋭い当たりは、右中間を真っ二つ。俊足を飛ばし、三塁を陥れた。この2打点で、オープン戦の打点を13まで積み上げ、12球団ダントツで終えた。

 川崎

 チャンスで回ってきたら返したい、という気持ちはある。(オープン戦では)できた時とできない時もあったけど、この気持ちはシーズンでも持ち続けたい。

 川崎の進化が、チームに新たな得点パターンを生み出した。今季のオーダーは、昨季チーム首位打者の長谷川、同じく本塁打王の田上が下位打線を担う。この日も7、8、9番で5安打。強力な下位打線でつくったチャンスを、川崎が返すという形。下位打線から1、2番へのつながりの良さに「若いからなあ。やってもらわないと」と秋山監督。ベテラン小久保、松中ら主軸の1発だけに頼らない10年型の打線に、指揮官も手応えを感じている。

 「あこがれの人」にも近づく。オープン戦では打点だけでなく、6盗塁、6二塁打、2三塁打も、現在両リーグでトップ。昨季は自己最多の44盗塁(リーグ2位)をマークしたが、今季は盗塁王を目指し、オープン戦でも失敗を恐れずに走りまくった。打点を稼げれば「打点王&盗塁王」の2冠も見えてくる。長いプロ野球史の中で、このタイトルを同時獲得したのは95年イチロー(当時オリックス)だけしかいない偉業だ。

 不調だった昨季の打率は、2割5分9厘だった。「キャンプからやってきたことができていると思う」。巻き返しに燃えてバットを振り込んだ成果が、オープン戦打率3割3分3厘という数字にも表れた。それでも、まだ準備段階。「ケガなくできた事が一番大きい。まだまだ完ぺきではない」。川崎が、イチローしかたどり着いていないステージに近づくほど、ホークスのV奪回道は加速する。10年シーズンが、待ち遠しい。

 [2010年3月15日10時44分

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