王のゲキで出陣だ!

 ソフトバンク王貞治球団会長(69)が18日、Vの予感を抱いて札幌入りした。この日夜、チームの激励会に参加。ホークスは20日、敵地札幌ドームの日本ハム戦で11年ぶりのビジター開幕を迎えるが、王会長がダイエー監督時代に初優勝を飾った99年も敵地開幕で前年度Vチームとの対決だった。ソフトバンク初優勝へ、プラス思考のススメを説いた。

 11年前の記憶はしっかり残っている。ソフトバンクになって以降は、初のビジター開幕。王会長が言った。「敵地で開幕と言っても、球場はいつもやっているところ。でも、チャンピオンチームとやることはいいことだね。我々はチャレンジャーだから」。今回の敵は昨年パ・リーグ覇者の日本ハム。福岡から札幌へ。チーム本隊に先駆けること5時間。コートで防寒を決め、王会長は飛行機に乗り込んだ。

 あのときは敵地西武ドームで、東尾西武との開幕カードだった。王会長がダイエー監督時代、初優勝を飾った99年だ。98年Vの西武に開幕戦は敗れた。が、2戦目で星を取り返すと、一気に優勝へ、ひた走った。「99年はペドラザがいてね。勝つ形があった。今年もファルケンボーグ、摂津、馬原がしっかりしているからね。7回までいけば、どうにかなるという形がある」。ホークスで通算117セーブを挙げたペドラザがいた当時と、現在のSBM。絶対的な勝利の方程式の存在に、Vの予感を抱いているのだ。ともに、前年3位(98年は同率)という状況も酷似している。

 このプラス思考が、大舞台では大事だ。「この世界、何事もプラスに考えないと。マイナスの考えは出てくるものだけど、プラス思考でね」。ソフトバンクの前に立ちはだかるのは、球界を代表する右腕ダルビッシュ。「甘い球を1球で仕留めること。(ストライクゾーンの)四隅にピシャッと来たら、そうそう打てないよ」。失投を1球で仕留める積極性と技術が何より重要。自らも現役時代は必ず失投が来ると信じ、打席に立っていた。

 さらに「20日は、6つのチームのうち、3チームが負けるんだよ。勝ち越すに越したことはないが、それは向こうも同じ」とも口にした。たとえ、開幕黒星発進でも99年のように取り返すチャンスはある。ナインにも、自らの言葉で伝えた。多忙なスケジュールの中、開幕戦は観戦できないことを承知の上、強行軍で札幌市内で開催された決起集会に顔を出した。乾杯の音頭をとり「20日からは、いよいよ本番。この世界は結果がすべて。チームみんなでいいことだけ考えてプラス思考で戦っていこうじゃないか。力を合わせて頑張ろう」。開幕まで、あと2日。北の大地で響いた王会長の野太い声とともに、チームは一丸となった。【松井周治】

 [2010年3月19日11時56分

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