ヨシノブが帰ってくる。26日、セ・リーグが開幕する。昨季、日本一の巨人はヤクルトを本拠地東京ドームに迎え撃つ。腰痛のため、昨季は8月28日の阪神戦(甲子園)での出場1試合に終わった高橋由伸外野手(34)は「8番一塁」でスタメン出場が濃厚。昨年9月の手術を乗り越え、懸命なリハビリの末、ついに復活を果たす。恐怖の下位打線を担い、リーグ4連覇、さらに2年連続日本一へ突き進む。

 開幕の高揚感とは違った。東京ドームで最後のチーム練習を終えた高橋は「気持ちの盛り上がり?

 まだ、特にこれといったものはないです。コンディション的には元気に来られている。それは良かったかな。とりあえず、こうして開幕を迎えられたことが一番。あとは1年、できたらいい」と素直な気持ちを明かした。ワクワクよりホッ。復活で嫌でも周囲の期待は高まるが、何より無事に開幕を迎えられることを喜んだ。

 懸命なリハビリを重ね、今日の日を迎える。昨年9月、腰の手術に踏み切った。「手術してからは、自分の計画通りに来られたと思う」。手術直後は歩くのも、ままならなかった。朝早くから2軍の若手選手に交じり、ジャイアンツ球場で汗を流した。手術から半年。この日のフリー打撃ではスタンド中段に届く快音を響かせ、一塁ノックを軽快にさばいた。実力で、開幕スタメンを勝ち取った。

 開幕戦の相手先発は、左腕石川。谷、長野と右の好打者もそろうが、原監督は左打ちの高橋を選んだ。オープン戦は打率4割6分9厘、4本塁打、7打点。特に、最後の横浜3連戦は9打数6安打、4本塁打と暴れまくった。ただでさえ強力な打線の下位に高橋が入り、さらに威力を増す。下位の打順にも、高橋に葛藤(かっとう)はない。「上位を打ちたい?

 全然。毎日、試合に出られるのが一番です」。

 あるのは感謝の気持ち。楽ではないリハビリを乗り切れたのは、周囲の支えがあったからだ。ケアに当たってきた根津トレーナーは「いよいよですね。でも、油断せずにやりますよ」。メーカーの担当者は、納める真新しいバットを整理しながら「2年ぶりだもんね。後は無事に開幕を迎えてほしいよ」と自分のことのように喜んだ。誰もが待ち望んだ復活の日。高橋は「いろんな人に感謝したい。(お返しは)成績もそうだし、1年を通してプレーすることもそう」と言葉を続けた。

 リーグ4連覇、日本一へ続く道が、26日の一戦から始まる。原監督は「去年のメンバーも非常に元気ですし、由伸、長野、エドガーが大きな戦力として加わった。チーム力は上がっていると思うし、昨年よりも強いチームとなって戦わないといけない」と断言した。高橋は「不安はあるけど、楽しみもある。(腰痛のため2軍で迎えた)去年とは全然、違うね」と明るかった。2010年、強力巨人打線。その一翼に、ヨシノブがいる。【古川真弥】

 [2010年3月26日8時33分

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