<ヤクルト0-4広島>◇8日◇神宮

 野村カープが7日未明に亡くなった巨人木村拓也内野守備走塁コーチ(享年37)に1日遅れで勝利を届けた。8日、ヤクルト戦で先発前田健太投手(21)が8回4安打無失点、打っても2安打の活躍。広島で長年プレーした同氏の魂を引き継ぐように、今季初の完封勝利、今季初の3連戦勝ち越しを贈った。

 1日遅れで、天国の巨人木村拓コーチへ白星をささげることができた。ヤクルトに快勝し、開幕から4カード目にして、ようやく今季初の3連戦勝ち越し。野村監督は「これの繰り返しだと思う。今日は勝ったけど明日も試合はある。辛抱強く戦っていきたい」と気持ちを緩めることはなかった。

 先発前田健が投げては8回0封、打でも2安打と活躍し、打線も刺激を受けた。5回に梵の犠飛で先制すると、7回には3点を追加。1死一、三塁でバットを折りながら右前打した東出は「あそこで打たなかったらマエケン(前田健)に申し訳ない」と胸をなで下ろした。さらに2死満塁で左へ2点タイムリーを放った4番栗原も「本当にホッとしました。マエケンが投げて打ってですから(野手は)立場がない。もう1点取れれば楽にしてやれるところだったので、打ててよかった」と苦笑いした。コイの主砲は打率2割にも満たない打撃不振に悩むが、11試合で12打点と勝負強さは発揮している。

 指揮官も「(前田健は)打でも行動で引っ張った感じ。マエケンデーでしたね。打線も1点取った後、東出、栗原が打ったし」と満足げに話した。

 木村拓コーチが死去した前日は、覇気なく大敗。「つらい1日だったが、もっと闘志を前面に出してほしかった」と嘆いたが、この日は粘り強く戦い、勝利をもぎ取った。最下位は変わらないが、この日の勝利を反撃の足がかりにしてみせる。【高垣

 誠】

 [2010年4月9日11時36分

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